米国で所有者の権利を保護する“Owners’ Rights Initiative”が誕生、図書館界からALAやARLも加盟

2012年10月23日、米国で、“You Bought It, You Own It!”を謳い、所有者の権利を主張する“Owners’ Rights Initiative(ORI)”という組織が立ちあげられました。米国自由貿易連合(AFTA)等の組織やeBay等の企業に加えて、図書館界から米国図書館協会(ALA)と北米研究図書館協会(ARL)も参加しています。

Owners’ Rights Initiativeは、どの国で製造されたかに関わらず購入した製品を再販売することができる権利を保護することを目的としています。その背景には、ファーストセールドクトリン(合法的に入手したものは著作権者の許諾なく販売・貸出できる権利)、そして“Kirtsaeng v. Wiley & Sons”裁判の存在があります。

同裁判は、Wiley社が、同社の教科書の廉価なアジア版を米国に輸入し販売していたタイ人男性を著作権侵害で訴えていたものです。2011年8月には控訴裁判所によって、国外で印刷された図書にはファーストセールドクトリンが適用されないという判決が下され、図書館による貸出サービスへの影響も懸念されていました。2012年10月29日には最高裁判所において審議が行われる予定となっています。

Owners’ Rights Initiative
http://ownersrightsinitiative.org/

You Bought It, You Own It! Owners’ Rights Initiative Launches to Protect Consumers’ Rights(Owners’ Rights Initiative 2012/10/23付けニュース)
http://ownersrightsinitiative.org/2012/10/23/you-bought-it-you-own-it-owners-rights-initiative-launches-to-protect-consumers-rights/

ALA Joins Coalition to Protect Library Lending Rights(District Dispatch 2012/10/23付け記事)
http://www.districtdispatch.org/2012/10/ala-joins-coalition-to-protect-library-lending-rights/

参考:
国外で印刷された図書の貸出が可能かどうかを巡る米裁判、Library Copyright Allianceが最高裁に法定助言書を提出
http://current.ndl.go.jp/node/21292

米国の裁判所、国外で印刷された図書は著作権者の許諾なく貸出・販売できないとの判決
http://current.ndl.go.jp/node/19011