米国図書館協会(ALA)、北米研究図書館協会(ARL)、大学・研究図書館協会(ACRL)からなる“Library Copyright Alliance”(LCA)が、2012年7月3日に、米国連邦最高裁判所に対して“Kirtsaeng v. Wiley & Sons”裁判に関する法廷助言書を提出しました。
この裁判は、Wiley社が、同社の教科書の廉価なアジア版を米国に輸入し販売していたタイ人の男性を著作権侵害で訴えていたものです。合法的に入手したものは著作権者の許諾なく販売・貸出できるという「ファーストセールドクトリン」(first sale doctrine)が争点となっていましたが、控訴裁判所が2011年8月に、国外で印刷された図書にはファーストセールドクトリンが適用されないという判決を下していました。その後、米国連邦最高裁判所が2012年4月に審理を開始することを発表しています。
今回LCAが提出した法定助言書では、国外で印刷された図書に対してファーストセールドクトリンが適用されないことによって図書館の貸出サービスに生じる影響などについて述べられているようです。
Association of Research Libraries Joins Library Groups in Support of Lending Rights(ARL 2012/7/3付けプレスリリース)
http://www.arl.org/news/pr/kirtsaeng-3july12.shtml
法廷助言書(PDF:50ページ)
http://www.librarycopyrightalliance.org/bm~doc/lca-kirtsaeng-brief-3july2012.pdf
Library Associations Defend Right to Lend Books Printed Abroad in Supreme Court Filing(Library Journal 2012/7/3付け記事)
http://lj.libraryjournal.com/2012/07/copyright/library-associations-defend-right-to-lend-books-printed-abroad-in-supreme-court-filing/
Supreme Court to Hear Case on First Sale of Imported Textbooks(Library Journal 2012/4/18付け記事)
http://lj.libraryjournal.com/2012/04/copyright/supreme-court-to-hear-case-on-first-sale-of-imported-textbooks/
参考:
米国の裁判所、国外で印刷された図書は著作権者の許諾なく貸出・販売できないとの判決
http://current.ndl.go.jp/node/19011