2023年1月4日、フランス・オープンサイエンス委員会は、フランス高等教育・研究省が調査報告書“Retrospective and prospective study of the evolution of APC costs and electronic subscriptions for French institutions”を公開したと発表しました。
同報告書は、著者が論文処理費用(APC)を支払うオープンアクセス(OA)出版モデルによって発生した、フランスの研究機関のコストを定量化し、2030年までの変化を予測するものと述べられています。2013年から2020年にかけてフランスの研究機関に所属する研究者が発表した100万以上の論文のデータを用いて、分析が行われました。
主な結果として、2013年から2020年の間にAPCの合計は3倍となったこと、2020年には3,010万ユーロに達したことが挙げられています。将来に関しては、2030年には、現在の傾向が続くならばAPCの合計は5,060万ユーロ、ゴールドOAが加速した場合は6,800万ユーロになる見込みであること等が述べられています。また、電子雑誌の購読費用は2020年に8,750万ユーロと見積もられており、2030年には9,700万ユーロに達すると予測されています。
Combien coûtent les APC aux institutions de recherche françaises ? (ouvrir la science, 2023/1/4)
https://www.ouvrirlascience.fr/combien-coutent-les-apc-aux-institutions-de-recherche-francaises/
How much do APCs cost French research institutions?(ouvrir la science, 2023/1/4)
https://www.ouvrirlascience.fr/how-much-do-apcs-cost-french-research-institutions/
Retrospective and prospective study of the evolution of APC costs and electronic subscriptions for French institutions(HAL, 2022/12/21)
https://dx.doi.org/10.52949/26
参考:
フランスにおけるAPC(論文処理加工料)の支出状況(記事紹介) 2018-06-11
https://current.ndl.go.jp/car/36138
北米研究図書館協会(ARL)、米国の学術図書館におけるオープンアクセス(OA)経費についての報告書を公開 2022-11-14
https://current.ndl.go.jp/car/47169
フィンランドのコンソーシアム“FinELib”、論文処理費用(APC)支出状況モニタリングの動機・課題等に関するプロジェクトの報告書を公開 2021-03-01
https://current.ndl.go.jp/car/43396
APCと雑誌購読費用: OAのコストを監視する(文献紹介) 2016-07-04
https://current.ndl.go.jp/car/31999