フィンランドのコンソーシアム“FinELib”、論文処理費用(APC)支出状況モニタリングの動機・課題等に関するプロジェクトの報告書を公開

フィンランドの大学・研究機関・公共図書館からなるコンソーシアム“FinELib”は、2021年2月26日付で、論文処理費用(APC)に関するプロジェクトの報告書“Kirjoittajamaksut ja niiden seuranta: havaintoja ja kehitysehdotuksia”の公開を発表しました。

同報告書は、FinElibが2019年から2020年にかけて加盟機関を対象に実施した、APC支出状況のモニタリングに関する動機・課題等の調査結果を報告する内容です。報告書はフィンランド語で作成されていますが、主要な結論の要約や機関・利害関係者向けの推奨事項を示した英語によるExecutive Summaryが付されています。

Executive Summaryでは、予算編成やオープンアクセス(OA)に関する出版社との交渉への支援・OAに関わるコストへの意識向上が加盟機関の主要な動機であること、一貫性を持ち比較可能なAPCデータの要件に関する関係者間の合意等の課題が存在することなど、プロジェクトの実施した調査の結果が紹介されています。また、APCの管理やモニタリングをより一層支援するための機関・利害関係者向け推奨事項として、追跡可能な専用の会計項目を用意すること、機関によるAPCの実際の支払データを提供するイニシアチブOpenAPCに準拠した最低限のデータ要素について合意すること、最新研究情報システム(CRIS)等を活用してモニタリングを合理化すること、データを国外のコミュニティとも共有すること、転換契約の条件だけでなく1論文当たりのOA出版に係る平均的なコストも公開することなどが示されています。

フィンランド国立図書館が運営するリポジトリ“Doria”で、同報告書の全文をダウンロードすることができます。

Final report of the FinELib’s APC-project out now!(FinELib,2021/2/26)
https://finelib.fi/final-report-of-the-finelibs-apc-project-out-now/

Kirjoittajamaksut ja niiden seuranta: havaintoja ja kehitysehdotuksia(Doria)
http://urn.fi/URN:ISBN:978-951-51-7163-4

参考:
学術雑誌契約のオープンアクセス(OA)要項モニタリングに必要な論文レベルのメタデータのチェックリスト化(文献紹介)
Posted 2019年12月2日
https://current.ndl.go.jp/node/39640

大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)、論文公表実態調査(2019年度)の結果を公開
Posted 2020年3月4日
https://current.ndl.go.jp/node/40394

Springer Nature社、著者向けアンケート・機関へのインタビューに基づいた論文処理費用(APC)の財源に関するホワイトペーパーを公開
Posted 2020年4月7日
https://current.ndl.go.jp/node/40725

大学・研究機関由来のデータを情報源とする2016年から2017年に発表されたフィンランドの研究成果物のオープンアクセス(OA)状況等の分析(文献紹介)
Posted 2020年8月28日
https://current.ndl.go.jp/node/41852