カレントアウェアネス
No.175 1994.03.20
CA933
海外の図書館員のための研修プログラム
国立国会図書館では,1987年から海外の図書館員のための受託研修を実施してきたが,プログラムを海外からの要望をとりいれた計画的,継続的なものにするために,1993年9月,アジア・オセアニア地域の国立図書館23館に対し,当館の研修プログラムへの関心,研修科目,期間,時期についての要望,日本語コレクション及び担当スタッフの有無,人数等についてのアンケート調査を実施した。その結果,17館から強い関心と期待を示す回答を得た(回答率74%)。
アンケートの回答から,研修の科目としては,○図書館運営一般・図書館経営,○Japan/MARC等書誌データベースの作成及び検索システム,○レファレンス・インフォメーション・サービス,○資料保存の4科目に特に要望が集中していることがわかった。期間については1カ月,3カ月の希望が最も多く,時期については特に希望の集中している月はみられなかった。また,日本語コレクションについては11館が「ある」と回答したが,韓国,中国,台湾,オーストラリアを除けば小規模で,5館は100冊あるいは200冊程度,担当者も1人か2人であることがわかった。日本語のできる研修生の派遣については,可能と答えたのは5館だけで,研修は英語で行うべきとの意見もよせられた。
こうした結果をふまえて,時間的な制約もあることから,1993年度については研修科目をJapan/MARCを中心とした書誌データベースの作成とし,使用言語は日本語とした。実施時期は1994年3月中の2週間程度とし,1993年12月8日,タイ,シンガポール,韓国,中国,オーストラリア,マレーシアの各国立図書館長あてに,候補者の推薦を依頼した。
この結果,マレーシア,シンガポールからは,今年度は適当な候補者がいないが,来年度以降に参加したい旨返事があり,韓国国立中央図書館からは利用サービス担当の職員,中国国家図書館からは東洋語目録担当の職員の推薦があった。オーストラリア国立図書館からは自館には適当な候補者がいないが,2つの大学図書館の職員を候補者として推薦してきた。これらを検討し,今年度は韓国,中国およびオーストラリアのマコーリー大学図書館から研修生を招へいすることに決定した。研修期間は3月7日〜18日である。
この他,米国及びヨーロッパにおいても日本語及び日本関係資料を扱う職員に対する研修の必要性が認識されており,当館へも大きな期待が寄せられている。こうした状況を勘案しながら,さらに実りある研修プログラムを実現するために来年度以降のプログラムを策定中である。
千代由利(ちよゆり)