CA834 - 人々の大学から人々のオフィスへ:コロラド州公共図書館におけるコンピュータ利用 / 川鍋道子

カレントアウェアネス
No.158 1992.10.20


CA834

人々の大学から人々のオフィスへ
−コロラド州公共図書館におけるコンピュータ利用−

米国コロラド州の公共図書館でのコンピュータの利用者提供とスタッフの業務使用についての調査が行われた。この調査はキャサリン・フェニックスというフリーランスの図書館員が,コロラド州の公共図書館251館のうち,連絡先不明等を除いた204館に対し電話インタビューにより行ったものである。

204館のうち,コンピュータを使用しているのは141館(69%),そのうち他館とオンライン接続をしていない単館での使用が15館(10.6%)である。フェニックスによると,図書館スタッフのコンピュータ利用目的は,ワード・プロセッサが第一位で,続いて図書館間貸出(ILL),表計算,目録作成である。オンライン・ネットワークは小規模になされている段階で,中央館と分館,あるいは地元の大学図書館といくつかの公共図書館を結んだILLが行われている。

利用者提供についてもワード・プロセッサが図書館のコンピュータの主要な利用方法である。「もはや公共図書館は人々の大学ではなく,人々のオフィスの役目を果たすために様々なソフトウエアを導入している。」とフェニックスはいう。ワープロ以外の利用目的には,ゲーム,履歴書作成,表計算,ビジネス,宿題,手紙書きがある。図書館では職探しのサービスも受けられるので,利用者は図書館のコンピュータで履歴書を書いているという。

ほとんどの図書館ではソフトの収集方針,予算等の収集手続きは定まっていない。担当職員が,ソフトに詳しい友人や利用者に聞いて,コレクションを維持している館もある。利用料金については,68%の図書館で無料だが,プリントアウトはコピー1枚につき10セントである。コンピュータ利用料金をとっているところでは,1時間につき2ドルが多い。

最後に,図書館員はどのようなタイプのコンピュータがほしいか,利用者はどうかという質問をしているが,いずれも最も希望が多いのはCD-ROMドライブである。

現在,コンピュータ利用のすべてがうまくいっているわけではない。その導入にはもっと多くのスタッフが必要だという声,コンピュータ・ウイルスへの懸念のほか,一番の問題はソフト情報を収集し,最新の装置を備えるのに必要な時間が足りないことだという声もある。また,コンピュータはタイプライターとは違って様々な使い方ができる一方,コピー機ほど簡単でもなく使いづらいところも多いという。しかし,ソフトによりいろいろな情報や娯楽が提供され,他のメディアでは体験できない内容のものが多い。フェニックスは最後にこうまとめている。「情報の提供と同じように,コンピュータでしか得られない経験を提供するよう,これからの公共図書館は求められていくだろう。」

川鍋道子(かわなべみちこ)

Ref: Phenix, Katharine. Microcomputers in Colorado public libraries: a survey. Wilson Libr Bull 66 (4) 30-34, 1991