CA814 – 図書館における飲食問題 / 堀越敬祐

カレントアウェアネス
No.154 1992.06.20


CA814

図書館における飲食問題

ホールステッド等はテキサス,アーカンサス,ルイジアナ,オクラホマ,ニューメキシコの5つの州の医学系図書館238館に対して,館内での飲食問題に関する郵送調査を実施した。回答を寄せたのは121館,内訳は病院図書館が86館,大学医学図書館が20館,その他が15館だった。

食べ物については,121館のうち14%は図書館内のどこにおいても許していなかった。残りの104館は館内での食事は許しているといい,それらの図書館のうち40%は館内のどこでもよいとしており,46%は職員の休憩所や事務スペースなどの限定された区域においてのみ許していた。また,飲み物については,121館のうち約7%が館内での飲み物を一切禁止している一方,43%は館内全スペースでの飲み物を認め,50%は職員の休憩所や事務スペースなどの限定された区域でのみ許可をしていた。

調査から次のような結論が得られた。

1. 飲食物を許すかどうかの問題は,館種や規模にかかわりなく,すべての図書館のものであること。ある図書館では,利用者が館内に食べ物を持ち込んでいるのを発見したら,厳しく退館を命じ,飲食物を持ってコンピュータ室にいるのを発見したら,氏名を控えて今後の部屋への出入りを一切禁止している。別の図書館では,館内から飲食物を締め出すことは困難なので,コンピュータから離れたところに,利用者が雑誌を読みながら食事をしてもよい特別の部屋を用意したという。

2. 利用者が飲食物を持ち込むことはどうしても避けられないこと。いくつかの図書館では,館内での飲食を禁止する規則があるにもかかわらず,食べ物の包みや食べかすが残されていたり,飲み物をこぼした跡があった。

3. 職員だけ事務室での飲食を許して利用者の飲食を制限することは困難であること。何館かは,職員が事務区域において食事をしていることを利用者に知られないようにしながら,利用者には館内への食べ物の持ち込みを制限している。

4. 小規模な図書館,特に病院図書館は,館内での飲食に関して融通のきいた規則を持っていること。多くの病院図書館は客寄せのために無料または安価でコーヒーを提供し,ある図書館はコーヒーの収入を福祉に寄付している。朝から来館する利用者はパンを持参している。

この報告が出されてからある図書館では,館内での飲み物を許可しはじめて,利用者をたいへん喜ばせたという。

堀越敬祐(ほりこしけいゆう)

Ref: Halsted, Deborah D. et al. To eat or not to eat: in the library. Coll. Res. Libr. News 52 (11) 709-710, 1991