カレントアウェアネス
No.259 2001.03.20
CA1376
英国公共図書館の基準決定さる
2001年1月,英国の文化・メディア・スポーツ省(Department of Culture, Media and Sports: DCMS)は,公共図書館の基準を公表した。これは,2000年5月に出された案(CA1335参照)をもとに,案の公表後寄せられた意見を参考に案を修正し,制定されたものである。DCMSは,2001年4月の図書館年間計画(Annual Library Plan)開始時より,この基準に基づきイングランドの公共図書館の活動評価を行う。
政府案に対し,253の機関(4分の3以上の図書館行政庁を含む)および個人から意見が寄せられた。ほとんどの意見が基準制定への賛意を表明する一方,これらの基準を達成するためにはかなりの予算増額が必要であると述べている。特に小規模な行政庁は,基準を達成できるかどうか強い懸念を示している。主な意見としては,(1)イングランド全体の基準が個々の図書館の改善につながるのかという懸念,(2)図書貸出サービスへの偏り,(3)「児童サービス」「社会的除外者(social exclusion:社会的・経済的に疎外され,情報弱者となっている人々)へのサービス」「障害者・マイノリティに対するサービス」「館内外の環境」「建物の管理」「レファレンスサービス」「地域情報」「アウトリーチサービス」に関する基準の欠如,(4)サービスの質を測る手段として奨励された「公共図書館利用者調査」(PLUS: Public Library User Survey)の信頼性に対する疑問,(5)基準を下回り「法定義務不履行」とみなされた場合の措置,が挙げられた。
詳しい内容は下に挙げたWebサイトに掲載されている。追って紹介したい。
松井 一子(まついかずこ)
Ref: Department of Culture, Media and Sports. Analysis of the consultation on Draft Public Library Standards. [http://www.culture.gov.uk/heritage/libraries_papers.html](last access 2001. 2. 14)