カレントアウェアネス
No.246 2000.02.20
CA1303
LC史上一番高価な買いもの
米国議会図書館(LC)はこのたび8万点に及ぶマーティン・ルーサー・キングの個人文書を20億円で購入することをキング家と合意した。この価格は2000年に創立200周年を迎えるLCの歴史上,最高のものとなった。1929年,ジョージア州アトランタで生まれたキングは,1950年代から60年代にかけて黒人の公民権運動の指導者として活動した。1963年,ワシントンでの奴隷解放100周年記念の演説「私には夢がある」でも有名である。1964年にノーベル平和賞受賞,1968年に暗殺された。
今回LCが購入した文書の内容は,暗殺されるまでの6年間に書かれた演説草稿,往復書翰,メモである。ビリントンLC館長が人を介して直接キング家と交渉したものであり,サザビーズでは30億円と鑑定されたのでキング家は国家に対して10億円の寄付をしたことになる,と語っている。キング家では,キングはノーベル平和賞を受賞した時,賞金を子供たちに渡さなかったということで,文書を売却することを正当化しているという。
LCでは個人文書の収集は寄贈が基本であるので,今回の件は極めて例外的であるといえるであろう。
太田 かおる(おおたかおる)
Ref: International Herald Tribune 1999. 10. 30-31