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■携帯電話
電子書籍の流通については、携帯電話、PC、モバイル情報端末という主要な媒体がある。
携帯電話のコンテンツ配信に関しては携帯電話キャリアが公認する「公式サイト」があり、キャリアが定める基準にしたがってコンテンツの流通と課金が行われる仕組みとなっているこの公式サイトからの提供が、携帯電話向け電子書籍の主流である。携帯電話キャリアとしては、エヌ・ティ・ティ・ドコモ(DoCoMo)、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル(SoftBank)、ウィルコム(WILLCOM)、 イー・モバイル(EMOBILE)の5社が、総務省の認可を受けた事業者である。萩野によると、2008年12月現在の電子書籍の公式サイト数は、600サイト以上になっている。
■PC
PC向けの電子書籍サイトについて正確な数字はない。『出版年鑑』(出版ニュース社)や『電子書籍ビジネス調査報告書』(インプレスR&D)では主要な電子書籍販売サイトのタイトル数をカウントしているが、ここには収録されていない電子書籍サイトと電子書籍群が多数存在することに留意すべきである。また、電子書籍を閲覧する方式としてこれまで主流であったダウンロード型だけでなく、インターネット技術の進展によってどこでも接続できる環境が徐々に浸透し、コンテンツをダウンロードせずにインターネットへの常時接続を前提とした非ダウンロード型(期限付き閲覧許諾など)の電子書籍の読書スタイルが出現した。コンテンツ配信側のサーバに自分の本棚をつくり、購入した電子書籍を納め、どこからでもID/パスワードでアクセスすることが可能である。この場合、ダウンロードしないためコンテンツの不正コピー等を防止するDRM(Digital Rights Management)対応の必要はない。
■読書専用端末
日本において導入された読書専用端末はこれまでのところすべて成功しなかったといってよい。2004年に「電子書籍元年」とまでいわれその普及が電子書籍にコンテンツを提供する出版社からも期待された「Σブック」「LIBRIe」はすでに生産を完了している。しかし、2007年11月、米国・アマゾンが発売した「Kindle」は3Gデータ通信機能を内蔵した点でこれまでの読書専用端末と異なっており、PCを介することなく欲しい本をダウンロードできるために注目を集めている。しかも提供されるコンテンツは発売当初で9万タイトル、発売から約1年で19.5万タイトルになっており、しかもニューヨークタイムズで紹介するベストセラーの90%が確保されているという。ただ日本での発売時期は現時点では未定である。
■モバイル情報端末
モバイル情報端末とは、iPhoneのようなスマートフォンやニンテンドーDS、PSP(プレイステーション・ポータブル)などの携帯型ゲーム機を指し、これらの読書専用端末ではない汎用型の機器を使って電子書籍を読むことができる。そして、もっとも積極的に電子書籍コンテンツ供給に関わっているのは大手コミック出版社である。