4.2 把握することが困難な非出版社系コンテンツの電子書籍サイトの実態

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 国内で提供されている電子書籍のコンテンツは出版社系だけではない。例えばインタビュー調査を行った「魔法のiらんど」が運営する「魔法の図書館」のように無料でコンテンツを提供しているサイトが存在する。

 

■魔法のiらんど

 「魔法のiらんど」は、携帯電話やPCから無料でホームページが作成できるサービスであり、このサービスによってブログ、掲示板、プロフィール、そしてケータイ小説が生まれるきっかけとなったBOOK(小説執筆機能)が提供される。

 

■魔法の図書館

 「魔法のiらんど」のサービスによって作られたケータイ小説の作品は「魔法の図書館」で読むことが可能で、今一番読まれているケータイ小説が分かる「ケータイ小説ランキング」、ケータイ小説を探せる「BOOKナビ」、話題の作品について語ることができる各種「掲示板」、自分の作品をアピールできる「Myケータイ小説宣伝板」などがあり、作家であるユーザーの活動の支援と読者であるユーザーの楽しみ方を提供しているのである。

 「魔法の図書館」には100万タイトルのケータイ小説があるというが、これは「BOOK」(小説執筆機能)に登録したID数が根拠となっている。「BOOKナビ」に登録され、検索可能になっている作品数は約10万タイトルである。

 「魔法の図書館」にアップロードされているケータイ小説作品の「版」と「点数」の概念は複雑である。なぜなら作品は作家自身が運営管理するホームページ上で公開されているため、作家自身がいつでも作品を書き始めたり、また書き直したりしたりすることが可能である。作品がすべて完結してから公開するケース、また途中段階のものでも随時公開するケースがあり、また一つの作品を公開し、それにまつわるサイドストーリーや続編を作成したり、また急に中止して消去したりするケースがある。

 

■魔法の図書館Plus

 2006年10月、NTTドコモのiモード・FOMA向けの総合携帯電子書籍サイトとして「魔法の図書館plus」が開設され、書籍化されたケータイ小説を中心に小説やコミックを電子書籍として有料配信(月額315円と月額525円の2種類のメニュー)を行っている。「魔法の図書館」と「魔法の図書館Plus」では利用者があまり重複していないという。

 出版社が介在しないこのような出版コンテンツの登場は、デジタル時代における新しいコンテンツ流通のあり方を象徴するものであるが、特に「魔法の図書館」のケータイ小説は電子書籍の統計にはカウントされず、実態把握が困難な領域である。