小特集 – Googleの新サービスが与える影響

カレントアウェアネス
No.289 2006年9月20日


小特集 : Googleの新サービスが与える影響


 1語2語のキーワードを打ち込んで,「検索」ボタンをクリックするだけで,インターネットの世界に広がる夥しい量の情報の中から自分が求める情報を手早く検索できる―これが検索エンジンの強みですが,数あまたある検索エンジンの中でもGoogleは特に目を見張る成長を見せており,基本サービスであるウェブ検索エンジンの爆発的な普及もさることながら,2005年以降に限っても,Google Scholar,Google Book Search,GoogleEarthなど,情報検索と結びつけた新たなサービスを相次いで発表しました。

 膨大な情報を収集し,使う人のニーズに合った形で提供するという点で,Googleのこうしたサービスは図書館サービスにも通じるところがあります。そして,インターネットの普及が著しい現在,オンライン上における利便性という側面では既存の図書館を凌駕しかねない勢いを持っているともいえるでしょう。

 その一方,Google Book Searchに見られる出版社や著作権者との対立,Googleの基本サービスであるウェブ検索エンジンに対する政府当局の介入といった問題も露呈しています。

 今回は,Googleの最近の動きについて,2つの側面から取り上げた3本の記事をご用意しました。Googleの新サービスからは,Google ScholarとGoogle Earthに焦点を当て,その概要を紹介するとともに,図書館にどのような展開を与えるのかについて論じていただきました。加えて,Googleを取り巻く問題という側面からは,中国版Googleのサービス開始に当たり中国政府から一部の検索結果の表示を制限する要求があった事例に注目し,検索エンジンによる情報入手行動とこれに対する一種の「検閲」行為が示す問題点について整理していただきました。

CA1506Google Scholar,Windows Live Academic Searchと図書館の役割
片岡 真
CA1507進化する地図の世界
津田深雪
CA1508情報検索サイトと「検閲」−“思想の自由市場”の復活に向けて−
坂田 仰