S001 (試行版) – 欧州洪水によりチェコの図書館に重大な被害

カレントアウェアネス-E

試行版 2002.09.18

 

 S001

欧州洪水によりチェコの図書館に重大な被害

 

 8月に中東欧地域を襲った百年来の洪水により,チェコの図書館や文書館,美術館等において収蔵する膨大な数の資料が被害を受けた。首都プラハにあるチェコ国立図書館の発表によれば,チェコ国内の50あまりの図書館で,インキュナブラ等の貴重書・特殊コレクションを含む60万冊を超える資料が水損したとされている。そのうち約15万冊がさらなる被害の拡大を防ぐため,凍結処理を施されたという。真空凍結乾燥法(CA524参照)等による被災資料の手当が必要とされるが,その設備・財源ともに不足しているため,チェコ国立図書館はIFLAやユネスコ等を通じて海外の図書館,文書館等に支援を呼びかけている。

 チェコ国立図書館では,幸いにも所蔵資料の水損は免れたものの,地下にある電気設備と集中冷暖房設備が被害を受けた。このため同館は4週間あまり休館したが,9月9日よりサービスを再開した。なお,設備等の完全な復旧にはまだ数か月かかるとされている。

Ref:
http://www.nkp.cz/PublicRel/English/Floods.htm
http://www.ifla.org/III/misc/clementinum.html