カレントアウェアネス-E
No.90 2006.09.06
E540
【連載】アジア・オセアニアの図書館事情:(5)韓国
2006年の国際図書館連盟(IFLA)大会の開催国・韓国は近年,図書館の振興に非常に力を入れている。その中でも特に重点が置かれているのが公共図書館で,ノ・ムヒョン大統領が直々に拡充を指示したほどである(E468参照)。
2005年12月の時点で,韓国には公共図書館が514館,大学図書館が438館,学校図書館が10,297館,専門図書館が570館ある。この公共図書館のうち,公立のものは497館であるが,政府は2011年までに750館に増やすべく,予算措置を講じている。また,地域住民が通いやすいよう,「小さな図書館」(地域密着型の小規模読書施設)の建設も支援している。このような公共図書館政策の立案は,主に国立中央図書館(NLK)によって担われている(CA1578参照)。
またNLKは,単に政策の立案だけではなく,図書館の支援も積極的に行っている。514の公共図書館の「ハブ」として,図書館業務用標準ソフトウェア“KOLAS II”の開発・提供,総合目録システム“KOLIS-NET”(CA1060参照)の運営,公共図書館統計の作成,図書館員向け研修の実施などを提供している。KOLAS IIを採用している館が385館,KOLIS-NETに参加している館が245館,2005年のNLKの研修に参加した図書館員が1,674名という数値からも,NLKが名実ともに「中央」図書館として大きな役割を果たしていることがうかがい知れよう。
さらにNLKは,単館での活動でも目ざましい。特にデジタル部門に力を入れており,500万点を超える蔵書のうち古書9万6千冊を含む47万2千冊が全文デジタル化されているほか,4万3千点を超えるウェブ上の情報資源のアーカイビング(E457参照),1日当たり176件のデジタルレファレンスと,インターネット大国・韓国の国情に見合った事業が展開されている。このほか,NLKの2005年の大きなトピックとして,子ども青少年図書館(E506参照)の建設,将来のビジョン「国立中央図書館2010」の発表(CA1578参照),国立デジタル図書館の起工(E457参照),IFLA大会の準備の4点が挙げられている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/korea06.pdf
E468
CA1578
CA1060
E457
E506
E446