国際図書館連盟(IFLA)、パンデミック下の図書館における著作権法に関する研究報告書を発表

2022年5月4日、国際図書館連盟(IFLA)が、研究報告書“How well did copyright laws serve libraries during COVID-19?”を発表しました。報告書は途上国において図書館を通じたデジタル情報へのアクセスを推進しているEIFLと共同で作成されたもので、第42回世界知的所有権機関(WIPO)著作権等常設委員会(SCCR)に先立って公表されました。

調査は2022年2月から3月にかけて、世界中の114の図書館を対象とした調査と28のインタビューが実施され、29の国々から回答があったとしています。

回答した図書館関係者の83%は、パンデミックに伴う施設閉鎖時の資料提供で著作権関連の問題を抱えていたと回答しています。これらの問題は、パンデミック以前からの課題と交錯するものであるとし、出版社に関連するサービスやコンテンツへのアクセスの問題、オンライン授業支援にあたってのコンテンツ利用に関する法的な問題などが報告されています。

調査結果を受けて、報告書では以下を含む提言等を行っています。

・出版社はデジタルコンテンツを廉価で提供すべきである。
・電子書籍のライセンスは、紙の書籍のコストと同じになるようにし、図書館に対してもユーザーライセンスごとに販売されるべきである。
・著作権で保護されたコンテンツを、授業の一環としてオンラインで共有する権利を明確化し、技術的に便利なものにするべきであり、これにはオーディオやビデオ素材をストリーミングする際の制限を取り除くことを含む。

物理的にその場にいない利用者にデジタル形式のサービスを提供するにあたっては、発展途上にある規範に沿って図書館のキャパシティーを法的に保護するため、先見性を持って行動しなければならないと結んでいます。

Research Report: How well did copyright laws serve libraries during COVID-19?(IFLA,2022/5/4)
https://www.ifla.org/news/research-report-how-well-did-copyright-laws-serve-libraries-during-covid-19/
https://repository.ifla.org/handle/123456789/1925
※2つ目のURLは報告書本体[PDF: 958.54KB]です。

参考:
国際図書館連盟(IFLA)、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、連携機関と共同で作成した知的財産権に関する世界知的所有権機関(WIPO)宛公開書簡を発表
Posted 2020年4月8日
https://current.ndl.go.jp/node/40730