北米の東アジア研究図書館における日本語の漫画雑誌の所蔵状況等に係る調査(文献紹介)

2021年2月に刊行された、東亜図書館協会(CEAL)の“Journal of East Asian Libraries”の172号に、米・スタンフォード大学のVictoria Rahbar氏による報告記事“Report on Japanese-Language Manga Magazine Survey 2020”が掲載されています。

本文献は、北米の東アジア研究図書館における日本語の漫画雑誌の所蔵状況や、図書館員が日本語の漫画雑誌を収集する、もしくは、収集しない要因を明らかにするために行った調査の報告記事です。

調査は、CEAL加盟館のうちの43館に対し、2020年2月24日に電子メール(8問)を送付して行われました。本文献は、2020年4月15日までに回答のあった15館のうち、スクリーニング質問に回答しなかった2館を除いた13館分の回答を用いて分析されています。

調査結果として、回答館のうち30.77%が日本語の漫画雑誌コレクションを所蔵していること、日本語の漫画雑誌コレクションを構築するプラスの要因として研究・指導上のニーズや学生からのリクエストがあること、マイナスの要因としては、整理・製本、予算、保存スペースに係る問題があることが紹介されています。

また、回答館のうち、

・日本語の漫画の単行本に関しては84.62%の館が所蔵している

・単行本も雑誌も所蔵していない館は15.38%に過ぎない

・雑誌を所蔵する館すべてが単行本も所蔵している

・雑誌も単行本も所蔵する館は38.46%

といった点も紹介されています。

今後の課題として、電子版(単行本・雑誌)へのアクセスの問題や、漫画雑誌の付録(CD、おもちゃ等)の保存や利用提供の問題が指摘されています。

Rahbar, Victoria. Report on Japanese-Language Manga Magazine Survey 2020. Journal of East Asian Libraries, 2021, (172).
https://scholarsarchive.byu.edu/jeal/vol2021/iss172/4

参考:
E1110 – 米国の大学図書館におけるマンガの所蔵状況<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.181 2010.10.21
https://current.ndl.go.jp/e1110