東亜図書館協会(CEAL)加盟館のコロナ禍への対応状況を記録化する取組(文献紹介)

2021年2月に刊行された、東亜図書館協会(CEAL)の“Journal of East Asian Libraries”の172号に、立教大学の小牧龍太氏による記事“Documenting and Mapping COVID-19 Responses by CEAL Libraries”が掲載されています。

本文献は、コロナ禍への図書館の対応に関し、東アジアを専門とする図書館に特有の情報をリアルタイムに記録化するために著者が行ったプロジェクトで収集した情報をもとに分析した結果を紹介するものです。

調査は、“Council on East Asian Libraries Statistics 2018-2019 For North American Institutions”に掲載されている機関のうち、米国・カナダの大学の図書館43館を対象に、ウェブサイトとSNSの投稿(2020年3月から2020年9月中旬分)を2020年8月中旬から9月中旬にかけて収集し、可視化ツールを用いて分析する方法で行われています。

分析結果として、

・3月には調査対象館の多くが対面レファレンスサービスや冊子体資料の貸出を中止し、閉館した。

・春学期には、いくつか館で冊子体資料の利用が再開された一方、それ以外のサービスについては比較的再開されなかった。

・夏学期中、多くの図書館で冊子体の資料が利用できるようになった。

・秋学期当初、もしくは、秋学期中に、徐々に対面サービスや学習・閲覧スペースを再開した。

といった点が紹介されています。

分析に使用した収集データが公開されており、著者は、今回の結果を踏まえ、同プロジェクトを、東アジアを専門とする図書館員のコミュニティーへの貢献事例やオーラルヒストリーを収集するインタラクティブなデジタルプラットフォームに進展させる想定であるとしています。

Komaki, Ryuta. Documenting and Mapping COVID-19 Responses by CEAL Libraries. Journal of East Asian Libraries. 2021, (172).
https://scholarsarchive.byu.edu/jeal/vol2021/iss172/3

Documenting and Mapping COVID-19 Responses by CEAL Libraries
https://sites.google.com/view/covid-19-responses-by-ceal-lib

関連:
Doll, Vickie Fu and Liu, Wen-ling. Council on East Asian Libraries Statistics 2018-2019 For North American Institutions. Journal of East Asian Libraries. 2020, 170.
https://scholarsarchive.byu.edu/jeal/vol2020/iss170/4

参考:
米・Ithaka S+R、アンケートに基づいて新型コロナウイルス感染症拡大に伴う米国の学術図書館の暫定的な対応状況を報告
Posted 2020年3月19日
https://current.ndl.go.jp/node/40550

米国図書館協会(ALA)、5月に実施した新型コロナウイルス感染症への図書館の対応状況についての調査結果を発表
Posted 2020年6月5日
https://current.ndl.go.jp/node/41140

saveMLAK、新型コロナウイルス感染症の影響による国立大学図書館の休館状況に関する調査結果を公開中
Posted 2020年8月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41722