新型コロナウイルス感染拡大下の米国議会図書館(LC)の対応状況:職員の大多数がテレワーク中(記事紹介)

米国のラジオ局“Federal News Network”のウェブサイトに、2020年4月16日付で、同局の番組“Federal Drive”の司会者・テミン(Tom Temin)氏と、米国議会図書館(LC)の広報責任者(Director of communications)・スレイトン(April Slayton)氏による新型コロナウイルス感染拡大下での同館の対応状況に関する対談記事“Keeping the lights on at the Library of Congress”が掲載されています。

ストレイン氏からは、

・議会調査局(CRS)の職員を含め、図書館職員の大多数がテレワークをしており、リモートでは実施できない重要な職務を担当している限られた職員のみが出勤していること。

・VPNの同時接続数は4,000で、常時数千人の職員がリモートワークしていること。

・事業継続計画はあるが、今回は、重要な業務のみが必要な緊急事態ではないため、同計画のなかで重要と考えられていない他の重要案件を担当している職員も作業できるようすることを目標としたこと。

・利用者がLCの研究や資源を楽しむ機会も増えているので、これらも事業継続計画の範疇には含めておらず、オンラインやデジタルで提供するプログラムを強化しようとしていること。

・CRSでは議員に対してバーチャルブリーフィングを行っているほか、月に2回、議会職員とのウェビナーも実施し、この期間、153の報告書を新しく発行し、192の報告書を更新したこと。

・3月のはじめ、LCのIT担当職員が、これまでテレワークをしていなかった職員を支援するため、約400台のノートパソコンを設定し配布したこと。

・現在は非常時なので勤務管理を改良しなければならず、LCでは、テレワークを頻繁にできるように職員を支援するためのいくつかの柔軟な規則を定めたこと(テレワーク中に時間が空いた場合に参加できるプロジェクトの設定、育児や介護をしながらのため40時間勤務が達成できなくてもリモートワークできるように給与支払期間あたり20時間までの有給休暇を設定、コアタイム以外の午前6時からや午後9時までの勤務の許可)。

・情報化統括責任者(CIO)事務局がリモートワークを支援するために24時間体制で対応していること。

・職員からは仕事を続けられることについて誇りに感じているとの声が寄せられており、LCでは全職員に対して最新情報を伝えるために毎日メッセージを送っていること。また、議員からも継続されている事業があることやそのレベルの高さに高評価を得ていること。

・中心チームから、建物や所蔵資料などの物理的状態に問題がないか報告されているほか、警察と緊密に連携して警備を行っていること。

などが話されています。

Keeping the lights on at the Library of Congress (Federal News Network, 2020/4/16)
https://federalnewsnetwork.com/workforce/2020/04/keeping-the-lights-on-at-the-library-of-congress/

参考:
米・Ithaka S+R、アンケートに基づいて新型コロナウイルス感染症拡大に伴う米国の学術図書館の暫定的な対応状況を報告
Posted 2020年3月19日
https://current.ndl.go.jp/node/40550

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)、新型コロナウイルス感染症の拡大をうけ、リモートワークの図書館員の効果的なマネジメント方法に関するウェビナーを開催
Posted 2020年4月7日
https://current.ndl.go.jp/node/40718