E911 – NDL,納本制度60周年記念アンケートの結果を公表

カレントアウェアネス-E

No.147 2009.04.08

 

 E911

NDL,納本制度60周年記念アンケートの結果を公表

 

 国立国会図書館(NDL)は,2008年7月から9月まで,出版社・新聞社,国,地方公共団体,大学など出版物を刊行する9,183機関に対してアンケート調査を実施し,このたび,その結果をホームページで公表した。この調査は,NDLが納本制度による収集を開始して60年(E784参照)になったことを記念して行ったものである。

 アンケートでは,各機関で行う出版の規模や出版の目的をはじめとして,納本制度の認知度,最近1年間の納入状況,各機関自らの出版物の保存状況,デジタル化状況等について質問した。

 最近1年以内に納本経験があるかどうか尋ねた質問では,全体で7割の機関が「ある」と回答した。機関種別にみると,出版社・新聞社,大学,学術団体・学協会では「ある」が約9割と高く,映像資料の発行社,地方公共団体,企業・シンクタンクは5割を切るという低いものであった。

 また,出版物の形態別の納本状況をみると,書籍・冊子や雑誌・新聞は約8割が納本されているが,CD・DVD・ビデオ等の音楽映像資料,地図,楽譜等はいずれも約3~4割しか納本されていないことが分かった。

 自由記入欄では,納本制度に関する様々な意見があった。納本制度が充分に周知されていない,納入対象出版物の範囲が分かりにくい,といった指摘が複数あったほか,地方公共団体からは納入方法について公共図書館と連携する等工夫できないか,といった記述も見られた。

 NDLは,納本制度をより広く周知するため,国民共有の文化的財産として出版物を集積・保存し未来に伝えていくことの重要性と,そのために納本制度が存在することの意義を伝える取組みを今後も継続して行っていく。

(収集書誌部)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit_02enquete.html
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit.html
納本制度が抱える課題–納本制度60周年記念アンケート調査の結果から. 国立国会図書館月報. 2009, 2月号, p.32-35,
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/geppo/pdf/geppo0902.pdf.
徳原直子. 出版文化と納本制度. 出版ニュース. 2009, 2月下旬号 p.6-10.
E784