カレントアウェアネス-E
No.145 2009.03.04
E897
ドイツ連邦政府,「ドイツデジタル図書館(DDB)」の構築を表明
ドイツ連邦政府は2009年,ドイツデジタル図書館(Deutch Digital Bibliothek;DDB)を構築すると正式に表明した。DDB設立の目的は,ドイツの芸術,文化および学術情報をデジタル化することで誰でもアクセス,利用できるようにすることである。
DDBは,ドイツの図書館,美術館,博物館,文書館,映画施設などの文化・学術機関が提供している著作権処理済みデジタルコンテンツ30,000点以上について,フラットに検索・閲覧できるポータルサイトとして想定されている。また文化機関以外にも,ドイツの出版社団体が提供するインターネット書籍検索サービス“Libreka”プロジェクトともリンクする予定で,これにより書籍の全文検索なども可能になるとされている。
DDBは,将来的には2008年11月20日に公開された欧州デジタル図書館(CA1632,CA1644参照)のポータルサイトEuropeana(E862参照)と連携する。これは欧州委員会がEUの構成国に対し, Europeanaへ情報の提供を義務付けていることによる。DDBはEuropeana内で,ドイツ文化への国際的な出入口の役割を果たす。このことを通じて国際的にドイツの文化・科学的な豊かさを紹介することができることから,DDBの構築はすべての国民にとって魅力的な提案であるとしている。
ドイツ連邦政府はDDBの重要性を強調している。例えば文化大臣がDDBを連邦と州の共通活動領域とし,魅力的な計画と述べたのをはじめ,メルケル(Angela Merkel)首相もDDBの構築を支援することを表明している。ドイツ図書館協会(Deutsche Bibliotheksverband)も昨今のデジタル化の流れに即し,科学・情報界におけるドイツの競争力を高める上でDDBは不可欠であると,計画を歓迎している。
計画の詳細は2008年12月18日にドイツ州首相会議 で承認された。今後,2009年の早期に要綱が意見調整されて,連邦内閣で決定する見込みとなっている。こうした政治的な決定過程と同時並行して,デジタル化も進んでおり,2010年にはDDBのプロトタイプ版が公開される予定となっている。
(資料提供部電子資料課・松永しのぶ)
Ref:
http://www.bundesregierung.de/Webs/Breg/DE/Bundesregierung/BeauftragterfuerKulturundMedien/Medienpolitik/DeutscheDigitaleBibliothek/deutsche-digitale-bibliothek.html
http://www.bibliotheksverband.de/stellungnahmen/2009-Stellungnahme_Deutsche_Digitale_Bibliothek.pdf
http://www.libreka.de/
CA1632
CA1644
E862