カレントアウェアネス-E
No.133 2008.08.13
E822
図書館における電子リソース管理<文献紹介>
Yu, Holly ; Breivold, Scott ed. Electronic Resource Management in Libraries: Research and Practice. Information Science Reference, 2008. 416p.
本書は,データベース,電子ジャーナル,電子ブックを含む電子リソース(e-resource)について理論と実務の両面から包括的に取り上げたハンドブックであり,このような書籍が出版されるのは初めてのことである。本書は,5部21章から構成され,執筆者は32人(米国31人,カナダ1人)に上る。
第1部「歴史的概観,戦略計画および利用統計」では,電子リソースの歴史,電子リソース管理の戦略計画,電子利用統計にそれぞれ1章が当てられている。
第2部「ワークフロー管理と電子リソース担当司書のコンピテンシー」では,最初の3章で多面的に電子リソースに係るワークフローを扱い,次に続く1章で電子リソース担当司書に要求されるコアコンピテンシーを分析している。
第3部「著作権及びライセンシング」では,35のライセンスの比較分析によるライセンスの進化,電子リソースの著作権の特色及びライセンス交渉を扱っている。
第4部「電子リソースへの取組」では,カリフォルニア・デジタル図書館とオレゴン健康・科学図書館の事例を紹介し,レファレンス・リンキング(CA1481,CA1482,CA1506参照)の動向,電子リソースの認証とアクセス管理,電子リソースのリスト及び管理における命名(naming)の問題を取り上げる。
最後の第5部「電子リソース管理システム」(ERMS:E362,E747参照))では,ERMSの概要,ExLibris社のリンクリゾルバSFXとInnovative Interfaces社の電子リソース管理(ERM),ERMSの発展,独自開発のERMSの影響,ERMSの将来,ERMSの進化をまとめている。各章末に引用文献リストがあるほか,末尾に引用文献統合リスト,著者紹介,索引がある。
図書館で扱う電子リソースが急速に増大しつつある時期にこのようなハンドブックがまとめられた意義は大きく,特に我が国でようやく取組の始まったERMSの導入と実装において参考になると思われる。
(東北大学附属図書館 加藤信哉)
Ref:
http://www.igi-pub.com/reference/details.asp?id=7435
CA1481
CA1482
CA1506
E362
E747