カレントアウェアネス-E
No.63 2005.08.03
E362
デジタル著作権表現の標準化に向けて <文献紹介>
NISO Initiative on Digital Rights Expression: Report on the NISO Pre-Standards Workshop on Digital Rights Expression. Held May 18-19, 2005. Denver, Colorado. (online), available from < http://www.niso.org/news/events_workshops/RE-report.html >, (accessed 2005-07-27).
電子ジャーナルや機関リポジトリのコンテンツなど,学術・教育目的のデジタル・コンテンツが急増している。これに伴って,それらを統合的に管理する電子情報資源管理システム(Electronic Resource Management System: ERMS)がいくつも開発されている。同時に,デジタル・コンテンツのライセンスやアクセス情報の管理およびエンドユーザへの提示に用いるデジタル著作権表現(Digital Rights Expression: DRE)も,MPEG21-RELやODRL,電子図書館連合(DLF)提案のデータ要素辞書のように,それぞれのコミュニティから管理メタデータ規格が発表される状況になっている。そこで,こうした乱立するDREの標準化に向けて,米国情報標準化機構(NISO)は5月にワークショップを開催した。本記事は,その記録であり,会議内容の抄録や発表資料を見ることができる。
ワークショップでは,コンテンツ流通に関わる様々な利害関係者(図書館,出版者,アグリゲータ,eラーニング・コミュニティ,システム・ベンダーなど)が一堂に会し,それぞれの立場からDREの要件を説明し,討論を行った。図書館側からは,システムに依存しない相互運用性,フェア・ユース,長期保存のための媒体変換などを要件として提示した。標準化の必要性については多くの参加者の間で合意が得られており,これを受けてNISOは今後,権利表現のための用語の定義や各利害関係者の要件の集約を行い,クリエイティブ・コモンズのライセンス表示のようなモデル・ライセンスの策定に向けて努力すべきであると結論付けられている。
Ref:
http://www.niso.org/news/events_workshops/RE-workshop.html
尾城孝一. 電子情報資源管理システム−DLF/ERMIの取り組みを中心として−. 情報管理. 47(8), 519-527.