カレントアウェアネス-E
No.63 2005.08.03
E361
CRSレポートを直接国民に−Open CRSの開設
米国議会図書館(LC)の議会調査局(Congressional Research Service:CRS)は,国政上の様々な課題について行った調査を報告するCRSレポートを刊行しているが,公開対象は原則として議会関係者である。1999年には,インターネットを通じてCRSレポートを一般公開することを目的とした法案が提出されたが成立には至らず(CA1301参照),現在でも国民がCRSレポートを入手するのは容易ではない。
米国の非営利団体である民主主義・技術センター(Center for Democracy and Technology:CDT)はこのたび,CRSレポートに著作権が適用されないことを利用して,納税者たる国民がより簡単にCRSレポートを入手できるようにPDFファイルの形式で提供するウェブサイト“Open CRS”を開設した。現在,CDTや政府機関等が保有する3,000タイトル以上のCRSレポートがウェブサイト上で提供されており,これらのレポートとその改訂版を対象に検索もできる。議会関係者などCRSレポートを持っている人に協力を呼びかけ,PDFファイルをウェブサイト上に登録してもらうという方法でレポートを収集し,これまでにCRSが過去5年間に発行したレポートの約半数は集まったとしている。
すべてのCRSレポートを一般公開することを求めるCDTに対して,LCは,「本来CRSレポートは議会の事務局で入手してもらうもの」との姿勢をとっているが,「CDTがCRSレポートを収集してウェブサイト上で公開しても,それを止めさせることはできない」と,この取り組みを黙認するようなコメントも発表している。
Ref:
http://www.opencrs.com/
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb050711-2.shtml
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/
CA1301