E752 – LC,2008〜2013年の戦略計画を開始

カレントアウェアネス-E

No.123 2008.02.20

 

 E752

LC,2008〜2013年の戦略計画を開始

 

 米国議会図書館(LC)は,2007年10月1日から2008〜2013会計年度の戦略計画(strategic plan)を開始した。

 戦略計画は3部構成で,まず「序論」でLCの沿革が述べられた後,「計画の概観」でビジョン・使命・価値基準と戦略目標の概要が示されている。また「実施」では,戦略目標ごとに達成すべきいくつかの成果が設定され,それぞれ戦略,パフォーマンス指標,評価基準,影響を与える外部要因がともに記述されている。

 本計画の核となる戦略目標は,以下の5つである。

  • (1) コンテンツ(Content)
    知識と創造性の統合的・普遍的な総体をアクセス可能な形式で拡大・保存する。具体的には,収集・保存方法の充実,共有コンテンツに関する他機関との連携や議会その他へのサービスの質的向上など,幅広い分野が含まれている。
  • (2) 利用者(Customers)
    資料をシームレスに発見・利用することを通じて,利用者自身の経験を豊かにする。利用者のニーズ分析によるサービスの改善や資料の学術的利用,デジタル資料の利用促進が達成すべき成果として挙げられている。
  • (3) アウトリーチ(Outreach)
    LCの価値と有用性に対する認識を高める。具体的にはサービス・広報強化や図書館を最大限に活用するための計画立案・スタッフの養成などが述べられている。特に議会への取り組みに力が入れられている。
  • (4) 組織(Organization)
    プロダクトとサービスの質と効率性を継続的に向上させていくため,図書館全体の相乗効果と柔軟性を高める。例えば,館内の労働環境の改善と意思決定過程の強化に取り組むことなどが挙げられる。
  • (5) 人材(Workforce)
    革新的で才能のある多様な人材を育成する。例えば,人事管理システムの改善や職員向け研修プログラムの開発等に取り組む。

 2004〜2008年の計画では18の目標が設定されていたが,今回は上記の5つにまとめられている。その中でも人材育成を独立した一項目としたところに,近い将来の職員の大量退職やデジタル時代への適応を見据えた危機感がうかがえる。

 なお,計画の末尾には今後のスケジュールや用語集等がついており,これによると,2010年10月には本計画の見直しと改訂作業が開始される予定である。

Ref:
http://www.loc.gov/about/mission/
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006440321/
CA1203