カレントアウェアネス-E
No.109 2007.06.27
E667
近代デジタルライブラリー,大正時代の図書を提供開始
2007年7月3日,国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」が,大正時代の図書約15,700冊の提供を開始する。「近代デジタルライブラリー」はインターネットを通じて利用可能な,図書の画像データベースである。これまでは明治時代の図書のみが対象だったが,大正時代の図書が初めて加わる。
今回公開するのは,主に著作権保護期間の満了が確認された資料であり,当館が所蔵する大正時代の図書約90,000冊の約17%にあたる。この中には,2008年に100周年を迎える日本からのブラジル移民に関連して当時の広報資料『ブラジル移植民地写真帖』や,南満州鉄道株式会社の調査機関による各種レポート『満鉄調査資料』,大正時代の旅行ガイド『京都遊覧案内』といった資料が含まれる。分野別の冊数の内訳は,社会科学分野が最も多く約37%を占め,産業分野の約19%,自然科学分野の約14%がこれに続く。
また,今回の追加公開からは256階調のグレースケール画像を採用する。グレースケール画像は従来の2階調のモノクロ画像と比べ,白黒の濃淡をより細かく表現することが可能であり,従来よりも鮮明な画像で閲覧することができる。これに併せて明治時代の写真帖327冊をグレースケール画像に更新する。
近代デジタルライブラリーでは,2002年10月の公開以来,順次提供冊数を拡大してきた。今回の追加によりあわせて約143,000冊の資料が閲覧可能となる。利用件数も順調に伸びており,2006年度は1日当たり約17,000コマの画像が利用された。今後は,大正時代に刊行された図書を順次追加し,より広く利用されることを目指していく。
(電子図書館課)