カレントアウェアネス-E
No.96 2006.12.06
E574
図書館ネコ「デューイ」,その生涯を終える(米国)
欧米では,マスコットキャラクターとして館内でネコを飼っている公共図書館が数多くある。このような図書館ネコ(Library Cats)の中でも有名な存在だった,米国アイオワ州スペンサー(Spencer)公共図書館の「デューイ・リードモア・ブックス(Dewey Readmore Books)」が2006年11月29日に永眠したと,同図書館ウェブサイトのトップページで発表された。
デューイは1988年1月18日の夜に,スペンサー公共図書館の返却用ブックポストに捨てられていたところ,翌朝図書館の職員に発見され,保護された。その後図書館評議会と市参事会の承認を経て,同図書館の正式な「スタッフ」の一員に迎えられることとなった。デューイという名前は公募によって,「デューイ十進分類法」から名付けられた。餌の費用は利用者や愛猫家からの募金によってまかなわれていたが,遠くはニューヨークから送金されたこともあったという。なおデューイは勤務にあたり,爪抜きや去勢の手術,ワクチンの接種を受けている。
デューイはスペンサー公共図書館の正式なスタッフとして,8つの職務を担当した。その中には「人々のストレスを癒す」,「毎朝9時に入り口の前に立ち,利用者を出迎える」といった人々を和ませる仕事ばかりではなく,「図書館主催の催しに参加する」,「全米および世界規模で,スペンサー公共図書館の広報活動に携わる」といった,図書館の広報・アドヴォカシー活動をも担うことになった。たとえば地域の新聞,雑誌からの取材や,図書館で活躍するネコの姿を描いたドキュメンタリー映画“Puss in Books:Adventures of the Library Cat”,日本のテレビ番組への出演など,デューイはさまざまなメディアに登場し,スペンサー公共図書館の広報官として活躍してきた。また同図書館友の会が作成した,4種類のポストカードのモデルともなり,1枚1.5ドル(約170円)で販売されるなど,図書館財政をも潤してきた。
スペンサー公共図書館のマスコットキャラクターとして愛されてきたが,近年は衰えが進み,さらに11月18日には腹部に腫瘍が発見された。そのため安楽死させることになり,ブックポストからデューイを発見した同図書館スタッフのマイロン(Vicki Myron)氏の腕の中でその生涯を終えた。
Ref:
http://www.spencerlibrary.com/index.htm
http://www.spencerlibrary.com/deweybio.htm
http://www.spencerlibrary.com/postcard.htm
http://www.ironfrog.com/docs.html
http://www.ironfrog.com/catsmap.html
http://www.radioiowa.com/gestalt/go.cfm?objectid=23F0CB69-888E-464C-8123827DA0873CAD&dbtranslator=local.cfm
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/12/02/AR2006120200924.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20061205ddm041030147000c.html