E552 – 【連載】アジア・オセアニアの図書館事情:(7)モルディブ

カレントアウェアネス-E

No.92 2006.10.04

 

 E552

【連載】アジア・オセアニアの図書館事情:(7)モルディブ

 

 モルディブ国立図書館は1945年,モルディブ州立図書館(当時)として設立された。英国保護国から独立後,1982年に現在の名称に変更された。2000年からは国立図書館の機能に加え,公共図書館としてのサービスも開始した。国立図書館としては,モルディブに関する出版物の収集・保存業務を担当しており,2005年からは法定納本制度が開始された。公共図書館としては,市民に対する情報や娯楽の提供,調査の支援,図書の提供を担っている。

 2005年のトピックスとして,法定納本制度の発足,子どもマルチメディア図書館の創立が挙げられている。法定納本制度はモルディブ国内の出版物,海外でモルディブ人が発行した出版物,モルディブの団体や企業の出版物を対象とし,2部の納本を求めている。子どもマルチメディア図書館は子どもに対する読書と娯楽の提供を目的とする図書館で,2005年12月1日に開館した。また2004年の出来事ではあるが,スマトラ沖地震・津波により被害が発生したため,国立図書館も,協力関係にある国内の図書館やモルディブ図書館協会からの支援を受けた。

  国立図書館の組織は管理部門と図書館部門に二分される。管理部門は予算と運営・管理を担当する。図書館部門は,テクニカルサービス,IT,研修,利用者支援,出版,調査,モルディブ関連コレクションの担当が置かれており,国内の図書館に対する調査,研究開発,支援活動も実施している。また市民向けサービスとしては図書の貸出(2冊,2週間),レファレンスサービス,新聞や雑誌の記事を紹介するカレントアウェアネスサービスを実施している。ほか,図書館向けサービスとして,全国書誌の作成と提供が行われている。

 モルディブには国立図書館や子どもマルチメディア図書館のほか,大学図書館,法律図書館,医学図書館,子どもマルチメディア図書館,学校図書館が存在する。大学図書館は中央図書館,工学系図書館,商学系図書館,医学系図書館,海洋研究図書館からなる。法律図書館は法曹関係者向け,医学図書館は病院の医療関係者向け,学校図書館は子どもの発育に応じたサービスを提供する図書館として,それぞれ設置されている。

Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/maldives06.pdf
http://www.nlm.gov.mv/main/