カレントアウェアネス-E
No.87 2006.07.19
E515
Google Book Search に対する訴訟,独で取り下げられる
Googleは6月28日,Google Book Searchに対する差止仮処分申請が取り下げられることが決定したと,公式ブログ“Google Blog”で明らかにした。
英ガーディアン紙によると,仮処分を申請していたのはドイツの出版社WBG(Wissenschaftliche Buchgesellschaft)社で,ドイツ出版業界団体のGerman Publishers Associationが支援をおこなっていた。
仮処分の審理において争点とされたのは,Googleが「米国の」著作権法の下で,「米国の」図書館の蔵書を,「米国で」スキャンしていて,「米国の」著作権法ではフェア・ユースとされている“Snipett”を用いて,「ドイツで」検索結果を表示することの是非である。ここでいう“Snipett”とは,Google Book Searchの検索結果表示画面において,検索キーワードが出現する箇所とその前後数文を書誌事項と一緒に表示する方法である(ただし,全文をスキャンすることが“fair use”に当たるかは訴訟になっている。E392参照)。Googleが出版社のある国の著作権法よりも,スキャンする国の著作権法に従っていることが問題であるとの訴えであった。
審理をおこなったハンブルグ地方裁判所は,図書の“Snipett”表示はドイツの著作権法に反しないとの見解を示した,とGoogleの公式ブログは伝えている。また米国でスキャンをすることがドイツの著作権法に反しているとのWBGの主張についても,退けたと伝えている。
なおGoogle Book Searchに対しては,米国の作家団体“Authors Guild”,米国出版社協会(Association of American Publishers)のほか,英国のフランス出版社組合(France’s National Publishers’ Union)からも訴訟がおこされている。
Ref:
http://googleblog.blogspot.com/2006/06/germany-and-google-books-library.html
http://booksearch.blogspot.com/archives/2006_07_01_booksearch_archive.html#115214292132825547
http://news.com.com/2061-10812_3-6089897.html?part=rss&tag=6089897&subj=new
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/06/29/12506.html
E392