カレントアウェアネス-E
No.68 2005.10.19
E392
Yahoo!とGoogleのデジタル図書館構想,その岐路
10月2日,Yahoo!とInternet Archiveが主導するデジタル図書館プロジェクトOpen Content Alliance(OCA)が旗揚げされた。OCAは,参加機関から寄託を受けた,著作権保護期間外あるいは許諾済みの印刷資料やマルチメディア資料をデジタル化して無料公開する。例えば,カリフォルニア大学図書館は,19世紀のアメリカ文学コレクションを提供するという。その他の参加機関にはトロント大学や英国国立文書館なども含まれている。また,メタデータをOAI-PMH(CA1513参照)やRSS(CA1565参照)で配信することも計画されている。
一方,出版業界から抗議を受け一時中断していたGoogle Print for Libraries(CA1564参照)は,9月20日,全米作家協会(Authors Guild)から大規模な著作権侵害があるとして集団訴訟に持ち込まれた。裁判の争点は,Google Printが米国著作権法第107条に規定されたフェア・ユースを構成するのかというところに絞られそうだ。著作権のあるものについては本文の一部分しか表示しない,このサービスは書籍を探す際のいわばカード目録のようなものである,経済的損失を与えるどころか書籍の売上向上に貢献するものと認識している,といったGoogle側の主張がどう受け止められるかがポイントとみられる。今回の訴訟には賛否両論が渦巻いており,法律家の間でも意見が割れる状況となっている。
Ref:
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb051003-2.shtml
http://www.opencontentalliance.org/
http://www.authorsguild.org/news/sues_google_citing.htm
http://googleblog.blogspot.com/2005/09
http://www.earlham.edu/%7Epeters/fos/newsletter/10-02-05.htm#google
CA1513
CA1565
CA1564