E476 – 児童ポルノに対する立法状況と処罰に関する国際調査

カレントアウェアネス-E

No.81 2006.04.26

 

 E476

児童ポルノに対する立法状況と処罰に関する国際調査

 

 失踪・虐待児童のための国際センター(International Center for Missing & Exploited Children” : ICMEC)と国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)は,Interpolに加盟する184の国・地域を対象に,児童ポルノに対する立法状況についての共同調査をおこない,その報告書(Child Pornography:Model Legislation & Global Review 2006)を公表した。  

 この報告書によると,ICMECは立法状況を審査するにあたり以下の5つの基準を設けたという。  

  • 現行法では児童ポルノを犯罪としているか
  • 現行法は児童ポルノの法的定義を含んでいるか
  • 児童ポルノの所有が犯罪とされるか
  • コンピュータやインターネット経由による児童ポルノの提供は犯罪か
  • インターネットサービスプロバイダー(ISP)が法に触れるかどうかが疑わしい児童ポルノについての報告を求められているか

 これらの基準をすべて満たしているのは米国,フランス,オーストラリアなど5ヶ国に過ぎず,ISPに関する基準以外の残り4つを満たし,「実質的に満たしている」とされているのも22の国・地域だけであるという。  

 逆に児童ポルノに関する明確な規定が全く存在しない国・地域は95に上り,うち児童ポルノに関する法律上の定義が存在しない国・地域が54,コンピュータを利用した児童ポルノに刑罰を科していない国・地域が27,配布を目的としない児童ポルノの所持を犯罪としていない国・地域が41,それぞれ存在すると報告書は伝えている。  

 報告書では最後に,このような現状を踏まえて,児童ポルノの(1)定義付け, (2)違反, (3)通報義務, (4)制裁や処罰,をふまえた立法モデルを提示している。

Ref:
http://www.icmec.org/en_X1/pdf/ModelLegislationFINAL.pdf