E446 – ソウル市の公共図書館拡充計画

カレントアウェアネス-E

No.77 2006.02.15

 

 E446

ソウル市の公共図書館拡充計画

 

 ソウル市には2006年1月現在,国立1館,市立22館,区立25館,私立15館,一般開放されている学校図書館11館の合計74館,一般利用可能な図書館が存在する。ところが2004年の統計によると,韓国の公共図書館1館あたりのサービス対象人口は約10万人,中でもソウル市は約13万9千人と,他のOECD加盟国の水準,5万人未満に遠く及んでいない。市は2003年から公共図書館の拡充計画を推進してきたが,さらなる拡充が必要であるとして,2006年1月,新規の拡充計画を発表した。

 この計画によると,今年は55館の拡充に着手し,うち35館は年内に開館させるという。内訳は,小規模図書館7館,公共施設複合型4館,既存の公共施設を再構築する2館,体育館やプールなどの学校施設と複合させる7館の建設と,学校図書館15館の一般開放である。さらに,2008年までに129館,最終的には150館以上への拡充が予定されている。また,「図書館および読書振興法」の全面改正案(E376参照)で規定されている広域代表図書館として,市のランドマークとなる大規模図書館も計画中である。

 このような計画を受ける形で,地元のソウル新聞が「図書館を活用しよう」という連載記事を掲載した。この連載では,ニューヨーク公共図書館(NYPL;CA1117CA1224参照)を先進事例として紹介する一方,もっぱら自習室として図書館が使われている,用地取得費用の不足により新しい図書館が山頂などに建てられている,図書館間の相互連携が貧弱,といったソウル市の図書館の実態を批判している。連載後の読者からの反応も紹介されており,クォン・ヤンスク韓国大統領夫人からの努力要請のほか,小規模でも交通の便のよい立地に建設してほしいといった意見が寄せられたという。

Ref:
http://www.seoul.go.kr/seoul/citynews/newsdata/1228432_8736.html
http://www.donga.com/fbin/moeum?n=society$c_708&a=v&l=27&id=200601100108
http://www.lib.seoul.kr/
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060118003006
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060125007004
E376
CA1117
CA1224