E415 - 東南アジアにおける日本研究資料の状況と司書育成支援

カレントアウェアネス-E

No.71 2005.12.07

 

 E415

東南アジアにおける日本研究資料の状況と司書育成支援

 

 東南アジアにおいて,主に経済界の需要から日本語学習熱が高いのは周知の事実であり,もはや「熱」ではなく中等教育の段階から定着している。そうした日本語教育の背景あるいは延長として,日本文化を教育機関で教えることも当然盛んである。また,学術的な研究機関も日本研究の歴史がある。

 こうした活動の基盤となる図書館資料のあり様は当然,その所蔵機関の位置付けによって異なる。インドネシアにおける日本研究の中心のひとつであるインドネシア大学を例に取ると,日本語教育の学科を前身とする「人文科学部日本研究科」,高度な日本研究機関である「大学院日本地域研究科」があり,またプロジェクトベースで活動する「日本研究センター」が別に存在している。

 英語による米国流の手法で日本研究を行う場合や,重量級の全集をずらりと揃える大学院に比べ,教育機関の日本語資料は,各々所蔵数も明確でないなど,せっかくの多くの資料が十分に整理・活用されていない場合が多い。これはひとえに,日本語を理解し資料の整理もできる司書が質・量とも不足しているため,というより存在しないためである。過去,独立行政法人国際協力機構(JICA)から司書が派遣されたり特定の日本人教師が滞在するなどして,一定期間に限って著しく作業が進んだという実績があり,こうした直接のサポートの増大が期待されるが,それ以上に,現地の人材を育成する上での日本側のサポートが重要である。

 こうした状況に対し,独立行政法人国際交流基金と国立国会図書館の共催による「日本研究情報専門家研修」,同基金関西国際センターによる「司書日本語研修」が毎年日本で実施されており,いずれも現在研修の真っ最中である。前者については,今年度はアジア地域を中心に研修生を募集し,東南アジアからは上記のインドネシアを始め,タイ,マレーシア,フィリピンからの研修生を招聘している。

(図書館協力課長 豊田透)