E414 – NACSIS-CAT/ILLの課題

カレントアウェアネス-E

No.71 2005.12.07

 

 E414

NACSIS-CAT/ILLの課題

 

 国立情報学研究所(NII)は10月,『書誌ユーティリティ課題検討プロジェクト最終報告』を公開した。これは,国公私立大学図書館協力委員会常任幹事会とNIIの業務連絡会の下に設置されたプロジェクトのレポートであり,目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の課題を検討している。

 NACSIS-CAT/ILLは,1,000以上の機関が共同分担入力方式で構築・利用する書誌ユーティリティであるが,近年,重複書誌レコードの増加,雑誌所蔵データの未更新,ILL謝絶率の上昇といった品質低下の現象が顕在化してきているという。そこで,このプロジェクトでは,その実態・背景を把握するため,2004年から数値的分析・訪問調査を行ってきた。その結果,品質低下の背景には,人員の削減,目録業務の外部委託化等に伴うスキルのばらつき,図書館評価の仕組みの欠如,共同構築・相互利用という基本的理念の希薄化などがあることが判明した。

 こうした課題への応急策として,レポートでは,運用理念の周知徹底,館としてのILLレンディング・ポリシーの確立,外注のための仕様書モデルの提示,外注業者も含むデータ作成者に対する資格認定制度の検討,図書書誌レコード調整方式の改善,雑誌所蔵データ更新への強制力,図書館評価のための基礎的数値の開示などを提言している。

Ref:
http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/contents/ncat_info_kadaiPT.html
http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/contents/ncat_info_kadaiPT-last-report.pdf
http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/contents/nlw_2004_index.html