E407 – 中国図書館学会,ネットワーク環境での著作権に関する声明を発表

カレントアウェアネス-E

No.70 2005.11.16

 

 E407

中国図書館学会,ネットワーク環境での著作権に関する声明を発表

 

 各種図書館と業界関係者から構成され,学会と協会の両側面を有する中国図書館学会は7月の年次大会において,ネットワーク環境下における著作権問題に関する声明を起草し,関係者への意見募集を行った。この声明が9月,同学会のウェブサイトで発表された。

 同学会は著作権保護の根本目的として,社会主義の精神・物質文明建設に資する作品の創作と普及の奨励,社会主義文化と科学事業の発展・繁栄の促進の二つを掲げ,著作権保護と合法的使用の保障を調和させる法制度が必要であるとした。具体的には,2000年8月に国際図書館連盟(IFLA)が採択した声明「デジタル環境における著作権に関するIFLAの立場」を支持し,(1)著作権立法に際してはベルヌ条約・WIPO条約で認められている国内立法権を十分に行使すべきである,(2)情報ネットワーク伝送権の保護と制限のバランスを実現する,(3)利用許諾を簡便・簡易に行える制度を設計・制定する,としている。

 このうち(1)では,スリーステップテスト(注)のもと,権利制限によって,図書館が所蔵するデジタル資料の複製,学校図書館での授業目的でのデジタル化,各種図書館での保存のためのデジタル化を認めるよう求めている。また(2)では,非営利の図書館における構内通信網(LAN)での伝送,授業目的の資料の複製とネットワーク伝送,ネットワーク資源にリンクするナビゲーションシステム,ILLにおけるネットワーク伝送などを,権利保護の例外とするよう求めている。

(注)スリーステップテスト:ベルヌ条約第9条第2項やTRIPS協定第13条に定められている,加盟国が著作物の排他的権利を制限する際の条件。著作物の通常の利用を妨げない,権利者の正当な利益を不当に害しない,特別な場合,の3要件をすべて満たす場合に限り,国内法で権利制限することができる,とされている。

Ref:
http://www.csls.org.cn/years_news/new-2.htm
http://www.csls.org.cn/edit/news1.htm
http://www.jla.or.jp/jiyu/ifla2000.html
http://www.cric.or.jp/db/article/t1.html
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/aippi/trips/ta/chap3.htm