カレントアウェアネス-E
No.70 2005.11.16
E408
盗品や略奪品を購入しないためのガイドライン(英国)
イラク戦争時に,戦渦に紛れて美術品や発掘品といった文化財が大量に盗難・略奪に遭ったのは記憶に新しい(CA1522参照)。英国文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は10月25日,博物館や図書館,文書館が盗品や略奪品,不法に輸出入された文化財を購入したり借りたりしないようにするための精密調査ガイドライン”Combating Illicit Trade”を公開した。
これは,文化財不法輸出入等禁止条約(1970年ユネスコ条約)を2002年に批准したこともあり,英国博物館協会や英国博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA),英国図書館(BL)などの代表者で構成するDCMSの不正取引諮問委員会が2003年から作成作業を進めてきたものである。
ガイドラインでは,チェック・ポイントとして,作品の起源・来歴を示す証拠を徹底的に確認する,特に紛争地域など不正取引の多発する地域には気を付ける,専門家のアドバイスを受けるようにする,外国起源のものに関してはその国の法規制や輸出証明書を確かめる,取引先・寄託者にも作品の歴史を証明する証拠書類を提出させるなどを挙げ,少しでも疑問がある場合は受け入れないようにとしている。
Ref:
http://www.culture.gov.uk/global/press_notices/archive_2005/dcms143_05.htm
http://www.culture.gov.uk/NR/rdonlyres/
http://www.museumsassociation.org/ma/8432
CA1522