E406 – 中国国家図書館の業務改革

カレントアウェアネス-E

No.70 2005.11.16

 

 E406

中国国家図書館の業務改革

 

 中国国家図書館は,2003年から中国政府が推し進める文化体制改革のテストケースとして業務改革に取り組んでいる。この業務改革の様子について,10月27日の新華網に館長のインタビューが掲載されている。

 インタビューによると,国家図書館は,人材,科学技術,サービスを3大重点領域に定め,サービス改善を最終目標に,人事制度改革,業務の合理化を進めてきたという。人事制度の改革としては,外部の人材を積極的に公募で採用するようにした他,成果主義を導入し職員間の競争を促し,年度考課で不合格となった場合は降格されることも明確にした。その結果,職員は自ら積極的に能力開発を行うようになり,2004年から2005年の間に41人の職員が大学院課程を終え,また職員が学術雑誌に掲載した論文は2005年6月までに570本以上にものぼった。同時に業務の合理化も進め,23あった傘下企業のうち3つを統合,残りを廃止し,バックヤードの業務については業務委託に踏み切った。

 一方,サービス水準の向上に関しては,科学技術調査センターおよび企業サービスセンターの開設,全国人民代表大会の委員等への海外文献優先取り寄せサービスの実施,北京大学等の図書館との情報資源共有ネットワークの取り組み,読書サロン(E358参照)の開催,デジタル資源ポータルサイトの開設など,数多くの新しいサービスを開始した。その他にも,365日開館,最大21時までの開館延長,閲覧手続きの簡略化,返却手続きの24時間化,出稼ぎ労働者への配送サービス(E401参照)といった従来サービスの充実化も積極的に打ち出している。

 現在,中国国家図書館は1日の来館者1.2万人,レファレンスの件数年間30万件超を達成しているが,館長は不断に業務改革を進め,さらにニーズを掘り起こし,国民により良い公共文化サービスを提供していきたいと語っている。

Ref:
http://www.libnet.sh.cn/yjdd/list.asp?id=2016
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/pdf/zhang.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/pdf/shen.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/pdf/wang.pdf
E358
E401