E341 – 電子リザーブの著作権問題(米国)

カレントアウェアネス-E

No.60 2005.06.15

 

 E341

電子リザーブの著作権問題(米国)

 

 大学の講義で使用する指定図書やシラバス等を電子的に蓄積して学生に提供しようとする“electronic course reserve”が米国等で導入されている。日本では,「電子リザーブ」または「電子的授業支援サービス」などと訳されており,東京学芸大学の事例が報告されている。

 講義で使用する指定図書等を電子化して学生に提供することは,米国の大学では,著作権法に規定された公正使用の範囲内として認識されているが,全米出版社協会(AAP)は,著作物の使用の範囲が不明瞭であり,出版者の利益を不当に侵害している恐れがあるとして,カリフォルニア大学サンディエゴ校に対して,電子リザーブで提供している著作物のリストを公開するように要求しており,大学と出版者との間で火種がくすぶっている。

 こうした状況の中で,米国の著作権集中処理機構であるコピーライト・クリアランス・センター(CCC)は,著作権法に準拠した電子リザーブの運用の指針をまとめて公開した。公正使用か否かの基準は,紙媒体でも電子媒体でも同じであり,権利者の許諾を得ることが基本であることを強調している。

Ref:
http://www.libraryjournal.com/article/CA601047.html
http://www.copyright.com/ccc/do/viewPage?pageCode=ac10
http://library.u-gakugei.ac.jp/man/ecr/ecr.html