E310 – DDBがコピープロテクト回避を可能とする協定を締結

カレントアウェアネス-E

No.55 2005.03.16

 

 E310

DDBがコピープロテクト回避を可能とする協定を締結

 ドイツ国立図書館(DDB)は1月18日,ドイツ書籍出版販売取引業者組合およびドイツ音楽産業協会との間で,技術的保護手段によってコピープロテクトされている電子出版物(電子本やCD-ROMなど)を複製することができるとする協定を取り交わした。協定によると,DDBは出版物の長期的な保存という法的義務を果たすため,また学術目的の利用に供するため,あるいは教育目的のコレクションとするためといった範囲内で,技術的保護手段を回避してコピーを作成することができるとしている。

 DDBは,デジタル技術の動向に合わせて,将来的にデータの変換が必要となる可能性を考慮して今回の協定を締結した。目的外使用にならないよう,DDBは電子透かしなどの技術によって複製物を管理することを求められる。

 ドイツでは2003年9月に,EU著作権指令(2001/29/EC)に沿った著作権法改正が行われ,コピープロテクトを回避する行為に対して厳しい罰則が設けられている。今回の協定は一見これに反するように見えるが,同じEU指令にある,当事者間の合意によって回避禁止規定を制限することができるとした規定を初めて適用したものである。

Ref:
http://www.edri.org/edrigram/number3.2/library
http://www.ddb.de/news/pressemitt_vervielfaeltigung.htm
http://www.sub.uni-goettingen.de/frankfurtgroup/drms/vereinbarung_engl_jan2005.rtf