E1864 – 鳥取県中部を震源とする地震による図書館等への影響

カレントアウェアネス-E

No.316 2016.12.08

 

 E1864

鳥取県中部を震源とする地震による図書館等への影響

 

 2016年10月21日に鳥取県中部を震源とする地震が発生し,様々な被害が生じた。本稿では,2016年12月7日までの情報を基に,地震の影響を受けた図書館等の状況を紹介する。

●図書館への影響

 震度6弱を観測した地域を中心に,鳥取県内のいくつかの公立図書館及び大学図書館が臨時休館を発表した。また,鳥取県立図書館は,鳥取県内の公立図書館の被害状況等を同館のウェブサイトで公開した。

 休館していた公立図書館については,湯梨浜町立図書館が10月23日に,倉吉市立図書館・倉吉市立せきがね図書館が10月28日に,三朝町の町立みささ図書館・北栄町図書館・北栄町図書館北条分室が11月1日に,それぞれ通常開館を再開した。なお,倉吉市立図書館では,11月25日から12月21日までの日程で,地震発生時の館内の様子や復旧作業時の様子を写した写真の展示を行っている。

 また,公立図書館のうち,資料の落下等があったものの地震後も休館には至らず通常開館したのは,鳥取市立気高図書館,岩美町立図書館,八頭町立船岡図書館,琴浦町図書館,南部町立天萬図書館の5館である。

 大学図書館では,倉吉市の鳥取看護大学・鳥取短期大学附属図書館が,資料等の落下のためとして翌開館日の10月24日は終日休館し,10月22日・23日に大学祭に合わせて開催予定であった図書館イベントも休止した。10月25日からは夜間を除いて開館し,11月14日には夜間開館も再開した。

 学校図書館についても,倉吉市立成徳小学校の図書館及び鳥取県立倉吉農業高等学校の図書室における資料の散乱等の被害が公表された。

https://www.library.pref.tottori.jp/info/1121.html
http://www.e-hokuei.net/1312.htm
https://www.facebook.com/hokuei.town/posts/1116792088428754
https://www.facebook.com/hokuei.town/posts/1120618708046092
http://www.lib.city.kurayoshi.lg.jp/info/exhibition/index.html
https://twitter.com/torikantanlib
http://cmsweb2.torikyo.ed.jp/seitoku-e/index.php?page_id=0
http://mainichi.jp/articles/20161024/k00/00e/040/152000c
http://cmsweb2.torikyo.ed.jp/kurano-h/index.php?active_action=journal_view_main_detail&block_id=313&page_id=0&post_id=1038&comment_flag=1

●博物館等への影響

 倉吉博物館は,地震発生後休館していたが,12月3日から一部開館している。修繕が必要な展示室5は休室を続け, 2017年8月の全面開館を目指すとされている。鳥取市歴史博物館は,地震後も通常開館していたが,10月22日開催予定であったイベントを中止した。北栄町の青山剛昌ふるさと館は,10月22日に休館したが,翌23日からは併設するショップのみ営業し,10月26日から全面開館している。

 一方,倉吉市の鳥取二十世紀梨記念館なしっこ館は,10月22日に当面の臨時休館を発表し,現在も休館している。

http://www1.city.kurayoshi.lg.jp/hakubutsu/
https://www.nnn.co.jp/news/161204/20161204007.html
http://www.tbz.or.jp/yamabikokan/news/2531/
https://twitter.com/gamf_staff
http://www.conanshop.com/diarypro/index.cgi?no=712
http://cms.sanin.jp/p/nashi/topic/55/

●被災資料保全のための動き

 10月21日,山陰歴史資料ネットワーク(山陰史料ネット)が,歴史資料や地域文化財の被災情報の収集と保全の呼びかけを行うためとして,Facebookのページを開設した。
https://www.facebook.com/sanin.siryou.net/

 10月24日,歴史資料ネットワーク(史料ネット)が,「鳥取県中部を震源とする地震の被災地のみなさま,ならびに災害ボランティアのみなさまへ(歴史資料保全のお願い)」を発表し,災害復旧の過程で発見された古文書等を捨てないよう呼びかけた。
http://siryo-net.jp/info/2016-tottori-eq-emergency/

 10月25日,山陰史料ネットと鳥取地域史研究会が連名で,「鳥取県中部地震による被災歴史資料の保存に関する緊急アピール」を発表し,被災した家財を処分する際に,保存すべき資料の選択や保存方法等について困った場合,地元の教育委員会や山陰史料ネット,鳥取地域史研究会に相談するよう呼びかけた。
https://www.facebook.com/sanin.siryou.net/posts/684845065004097

 10月25日,倉吉市が,古文書や民俗資料といった民間所在の歴史資料の保全を呼びかけた。
http://www.city.kurayoshi.lg.jp/gyousei/div/kyouiku/bunkazai/3/p111/

 10月28日,倉吉博物館が,被災した建物に古文書や地域の記録,農具や民具などの民俗資料等がないか確認するよう呼びかけた。
http://www1.city.kurayoshi.lg.jp/hakubutsu/osirase/hisairekisisiryou1.html

●図書館関係団体の動き

 10月26日,日本図書館協会(JLA)は,同日配信の『JLAメールマガジン』(第821号)に被災状況等を掲載した。
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=3062

関西館図書館協力課調査情報係