E1652 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2015年2月12日現在)

カレントアウェアネス-E

No.276 2015.02.19

 

 E1652

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2015年2月12日現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1629ほか参照)に続き,2014年11月下旬から2015年2月上旬にかけての主な情報をまとめた。

●被災地の図書館等の活動

 12月28日,宮城県東松島市図書館が,同館が収集・整理してきた市民の震災の体験談,被災写真等の映像記録集をDVDとして完成させた。また,市内の公共施設や商店等200箇所(1月現在)にステッカーサインやペンスタンドを設置し,QRコードを読み取ることで震災同時の写真・体験談などを視聴することができる「まちなか震災アーカイブ」がスタートした。
http://www.lib-city-hm.jp/lib/osirase/osirase.html
http://www.lib-city-hm.jp/lib/2011y-library%20top/index.html

 1月30日から,福島県浪江町が,原発事故によって全国に分散避難する町民同士の絆を維持し,町からの情報発信を強化し,生活再建に役立てることを目的に,県内外の町民各世帯にタブレット端末の配布を開始した。端末では,町民のニーズを基に開発したアプリケーション「なみえ新聞」等が利用できる。
http://www.town.namie.fukushima.jp/soshiki/2/9078.html
http://www.town.namie.fukushima.jp/soshiki/2/201405tablet.html

 12月25日の岩手県遠野市長記者懇談会にて,「3.11東日本大震災 遠野市後方支援資料館」の整備について発表された。
http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/1,30710,c,html/30710/20141225-193545.pdf
http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/1,30710,78,134,html

●デジタルアーカイブに関する動き

 東日本大震災で被災した岩手県久慈市,野田村,普代村が,東日本大震災関連資料の収集・デジタル化を進める「北三陸震災アーカイブ構築事業」を開始し,11月25日にインフォコムが同事業を受託した。
http://www.infocom.co.jp/info/press/2014/p14112501.html

 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に,新規コンテンツとして,環境省動画チャンネル(YouTube)や除染情報プラザのウェブページの廃棄物の処理や除染等に関する動画(12月2日),全国の農林漁業協同組合団体から提供された雑誌記事や報告書などの記録「農林漁業協同組合の復興への取組み記録 東日本大震災アーカイブズ」(1月15日),国土地理院が2011年5月から2012年4月の間に撮影した東北地方太平洋沖地震による被災地域の空中写真(垂直写真)(1月28日)が追加された。
http://kn.ndl.go.jp/information/345
http://kn.ndl.go.jp/information/353
http://kn.ndl.go.jp/information/355

●展示

 2014年12月5日から2015年5月31日まで,いわき市立いわき総合図書館(福島県)にて,同館といわき明星大学復興事業センター共催の「東日本大震災 浜通りの記録と記憶 アーカイブ写真展」が開催されている。
http://www.iwakimu.ac.jp/releases/detail.html?id=599
http://library.city.iwaki.fukushima.jp/viewer/info.html?id=3203

 1月14日から3月15日まで,東京国立博物館にて,特別展「3.11大津波と文化財の再生」が開催されている。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1692
http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/69/
http://webarchives.tnm.jp/docs/informatics/library_info/201501Kannrenn-bunnkazainosaisei.pdf

 1月24日から6月28日まで,大船渡市立博物館(岩手県)にて,東日本大震災被災状況写真展Part2-3.11巨大津波襲来。大船渡の1000時間。-」が開催されている。
http://www.city.ofunato.iwate.jp/www/contents/1421973827777/index.html

●イベント,講演会,講習会,研究会など

 11月29日,仙台市博物館(宮城県)にて,シンポジウム「ふるさとの歴史と記憶をつなぐ-東日本大震災1400日・史料保全の「いま」と「これから」-」が開催された。
http://www.miyagi-shiryounet.org/03/news/2014/2014.html#230

 12月7日,奈良大学にて,シンポジウム「被災地歌津と奈良を繋ぐ,そしてこれから」が開催された。
http://www.nara-u.ac.jp/news/event/detail.php?id=265
http://www.nara-u.ac.jp/cms/event/files/2014/11/symposium.pdf

 1月11日,国立国会図書館と東北大学災害科学国際研究所が「平成26年度東日本大震災アーカイブシンポジウム-4年目の震災アーカイブの現状と今後の未来(世界)へ繋ぐために-」を開催した。2月2日には,シンポジウムの動画とプレゼンテーション資料を国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に掲載した。
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/1207996_1829.html
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/__icsFiles/afieldfile/2014/11/17/pr141119.pdf
http://kn.ndl.go.jp/node/357
http://kn.ndl.go.jp/information/342
http://shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/symposium/sympo20150111

 1月17日,京都大学総合博物館にて,「東日本大震災からの生活文化の復興-人々の心をつなぐ“語り”と文化財の役割-」(レクチャーシリーズno.131)が開催された。
http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/modules/event/content0451.html

 1月25日,政策研究大学院大学(東京都)にて,文化庁平成26年度メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業主催のシンポジウム「震災復興・地域振興・公共サービスから考える集積された『マンガ知』の使い方」が開催された。
http://mediag.jp/project/project/manga2014.html
http://mediag.jp/project/project/mangachi.pdf

 2月11日,国際図書館連盟(IFLA)アジア・オセアニア地区常任委員会(RSCAO)と日本図書館協会の共催で,国際セミナー「災害からの復旧に果たす図書館の役割」が開催された。「東日本大震災と図書館」と題した発表がなされた。
http://www.jla.or.jp/committees/kokusai/tabid/185/Default.aspx

●刊行物

 『日本公民館学会年報』11号(2014年11月)に,「東日本大震災と公民館 公民館構想の研究」特集が掲載された。
http://www1a.biglobe.ne.jp/kominkan/journal.html
http://www1a.biglobe.ne.jp/kominkan/_userdata/annual%20report11.pdf

 『古文書研究』78巻(2014年12月)に山口悟史氏による「気仙沼大島における東日本大震災被災資料の保全活動(2)安定化処置」が掲載された。
http://id.ndl.go.jp/bib/026045508

 『カレントアウェアネス-E』273号(2014年12月24日)に吉田和紀氏による「これからの福島の図書館を考える<報告>」が掲載された。
http://current.ndl.go.jp/e1640

 12月25日,国立国会図書館調査及び立法考査局が,「総合調査 東日本大震災からの復興への取組の現状と課題」を刊行した。
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/1208504_1829.html
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/__icsFiles/afieldfile/2014/12/17/pr141225.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/2014/index.html

 1月20日,福島県立図書館が「東日本大震災福島県復興ライブラリー」の資料を実際に読み,感じたことを伝える「ブックガイド」のNo.12を公開した。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/pdf/guide12.pdf

 1月22日,国立歴史民俗博物館が2013年度年報を公開した。第一部研究編Vとして「東日本大震災被災資料の救援活動および博物館ネットワークの構築」が掲載された。
https://www.rekihaku.ac.jp/outline/publication/nenpo/2013/index.html
https://www.rekihaku.ac.jp/outline/publication/nenpo/2013/pdf/018.pdf

関西館図書館協力課調査情報係