E140 – 個人情報流出の要因となるか?無線タグをめぐる議論(米国)

カレントアウェアネス-E

No.25 2003.11.05

 

 E140

個人情報流出の要因となるか?無線タグをめぐる議論(米国)

 

 10月2日,米国の人権擁護団体である電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation: EFF)は,サンフランシスコ公共図書館が所蔵する約200万冊の図書や視聴覚資料等にRFIDタグ(注)を貼付する計画に対し,利用者のプライバシー侵害の恐れがあるとして文書で計画の見直しを求めた。EFFはRFIDタグによって利用者の行動や読書記録が追跡される可能性があること,また個人情報が悪用される恐れがあることを危惧している。これに対し同館は,RFIDタグの貼付は資料の管理と貸出手続の効率化に用いるものであり,個人の追跡を目的とすることはないと反論している。

 RFIDタグを利用したシステムは,シアトル公共図書館やサンタクララ市の図書館などで既に導入されている。サンフランシスコ公共図書館の計画では2005年以降の導入が予定されている。

(注)無線タグ(RFID: Radio Frequency Identification)。非接触で情報のやり取りができるICチップ。図書館資料の貸出・返却処理に応用すると,まとめて数冊の読み取りが可能。導入活用例としてシンガポールの公共図書館がある(CA1499参照)。

Ref:
http://www.miami.com/mld/miamiherald/6927665.htm
http://www.eff.org/Privacy/Surveillance/RFID/20031002_eff_pr.php
山崎榮三郎.特集:モバイル環境と情報,RFIDタグのIT図書館への応用.情報の科学と技術.52(12),2002,609-614.
CA1499