カレントアウェアネス-E
No.21 2003.09.03
E114
第69回国際図書館連盟(IFLA)大会 <報告>
去る8月1日から8日まで,ドイツのベルリンにおいて第69回IFLA年次大会が,133か国4,560人(初参加者1,182人)(日本から32人)の参加者を得て開催された。「世界図書館・情報会議」(E065参照)と呼ばれるようになった大会の今年のテーマは「アクセス・ポイントとしての図書館−メディア−情報−文化」であった。
評議会では8つの決議案が提出されたが,内容的にはすべて可決された。内容は「イラクの図書館等の破壊や略奪に対して,文化遺産の不正取引をしないことなど」を始め,「世界情報社会サミットへの支援・参加の行動」,「安全保障の名のもとに制定された法によって人権やプライバシーが侵害されることに対し,その修正や撤回を求めること」「女性の情報ニーズ」等に関するものであった。
IFLAのコアプログラムのひとつであったUBCIMが,UNIMARC関係を除き本年2月に終了した(E043参照)。一方では,別組織である国立図書館長会議(CDNL)のデジタル問題委員会が,書誌標準に関する活動を行っている。これらを受け,国際書誌調整については,ドイツ国立図書館の主導のもとに,新しく「書誌標準に関するIFLA-CDNL同盟」という名のワーキンググループを結成し,これらを引継ぐこととなった。これは英,独,オランダ,米,豪,ポルトガルの国立図書館で構成されている。
来年はブエノスアイレスでの開催となるが,その後オスロ,ソウル,南アフリカ共和国のダーバンと続き,2008年の開催地はカナダのケベックに決定した。
ヨーロッパでは初めてという猛暑の続く毎日であったが,参加者の意識は高く,統一ドイツの首都の活気にふれながら連日熱い議論を交わしていた。
(報告:植月献二)