カレントアウェアネス-E
No.185 2010.12.16
E1128
英国の博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)が解散へ
2010年11月23日,英国の文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は,2012年3月までに英国博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)を解散し,事業の一部をイングランド芸術評議会(Arts Council England:ACE)に引き継ぐと発表した。
同省のウェブサイトによると,バイジィ(Ed Vaizey)文化相はMLA解散の理由について,現在の困難な経済情勢にあっては,同じ目的のために複数の組織が存在することには意義を見出せないと述べ,財源とサービスを一つの機関に集中させるべきと説明している。MLAの解散についてはすでに2010年7月の段階で予告されていたが,その後重ねられてきたDCMSとMLAとの間の協議で,MLAが担ってきた事業の今後のあり方について合意に達したため,今回の発表に至ったとのことである。
MLAは,イングランドの博物館・図書館・文書館の発展と向上に努めるとともに,イングランド内の9つの地域全体にまたがる事業を推進する政府機関である。その事業として,政府が地域の博物館の財政を支援し,地域の遺産と文化を市民に普及させる「ルネサンス」(Renaissance)プログラムや,公共図書館のサービス向上のための地方自治体支援計画の策定,英国国立公文書館と連携して政府機関の記録管理に関する助言を行うプログラムの他,文化や芸術,スポーツに関する調査研究,文化振興のためのキャンペーン等を行ってきた。
ACEが引き継ぐ予定の事業は,「ルネサンス」プログラムの運営と推進,博物館や図書館のサービスを市民に対して提供するための支援,文化財に関する法定機能の一部とのことである。現時点で表明されているのは,博物館と図書館に関する事業の一部に関する引き継ぎであって,文書館に関する事業についてはACEが引き継ぐかどうかは明らかでない。DCMSは,これまでMLAが担っていた文書館に対する事業に関しては現在協議中であり,2010年末までに改めて発表すると述べている。
MLAのCEOであるクレア(Roy Clare)氏は,「スタッフにとっては困難な時期を迎えているが,これまでスタッフは模範的なプロ精神を見せてくれた。イングランド全体で,市民が博物館,図書館,文書館から質の高いサービスを享受できるよう,我々の経験とノウハウを円滑に引き継いでいってくれるものと確信している」とコメントしている。今後は,DCMSとMLA,そしてACEは,職員や予算問題等も含めた引き継ぎに関して,詰めの調整に入るとのことである。
Ref:
http://www.culture.gov.uk/news/news_stories/7582.aspx
http://www.culture.gov.uk/news/media_releases/7581.aspx
http://press.artscouncil.org.uk/content/Detail.aspx?ReleaseID=1136&NewsAreaID=2
http://www.mla.gov.uk/news_and_views/press_releases/2010/mlafuture_ace
http://www.mla.gov.uk/what/~/media/Files/pdf/2009/POCKET_GUIDE.ashx