E1091 – 欧州の図書館におけるソーシャルメディアの活用度合の調査

カレントアウェアネス-E

No.178 2010.09.02

 

 E1091

欧州の図書館におけるソーシャルメディアの活用度合の調査

 

 スウェーデンで開催された2010年IFLA大会のサテライトミーティングの一つである“Marketing Libraries in a Web 2.0 World”において,学術データベース等を扱うEBSCO社が,欧州の図書館におけるソーシャルメディアの活用度合についての調査の結果を発表した。ウェブで公開されているスライドを基に,その概要を紹介する。

 調査は,EBSCO社の欧州の顧客に対して行われたもので,ブログやWiki,Facebook,Twitter等のツールが図書館でどのように使用されているかを調べたものである。1,241機関から回答があり,その内訳は,大学が47%,医療機関が12%,政府機関が11%,研究機関が9%などであった。ソーシャルメディアに対する印象については,「非常に」から「やや」までを含めると,94%の回答者が肯定的であった。ソーシャルメディアを実際に使用しているかどうかについては,回答機関の37%が使用中,48%が計画中,15%は予定なしという結果であった。以下に示す割合は,使用中の機関における数値である。

 使用の主な目的(複数回答)については,対外的なアピールを高めること(78%),図書館のイメージの刷新(59%),特定のコンテンツの提供の促進(53%),ディスカッショングループや協同作業の実施(53%)などが上位を占めた。使用しているメディア(複数回答)は,Facebookなどのソーシャルネットワークサービス(63%)とブログ(55%)の2つが半数を超える回答となった。Twitterは46%,Flickrなどの写真共有サービスは29%が使用していると回答している。

 ソーシャルメディアの管理に費やす時間については,56%の回答者は自分の時間の10%を使っていると回答し,自分の時間の20%を使っているという回答者も23%いた。実施にあたって困難なこと(複数回答)においても,時間がかかるという回答が最多の41%となっている。新規コンテンツ追加の頻度は,週に5回未満との回答が最多(56%)となっている。

 ソーシャルメディアを活用したサービスを成功させるために必要なこと(複数回答)では,ユーザーのニーズを正しく把握していることが最多の回答(60%)となっている。その他,開設・運営のためのスタッフと時間,ユーザーの興味を保ち続けるための創造的な方法,ユーザーの関与や参加,質の高いコンテンツの掲載,などがあげられている。

Ref:
http://www.slideshare.net/jhoussiere/social-media-usage-in-libraries-in-europe-survey-teaser
http://web.vivavip.com/forum/LiveWire/read.php?i=30037
http://www.sub.su.se/ifla/program.htm