カレントアウェアネス-E
No.171 2010.05.19
E1048
サッカーに関連させた読書推進活動(英国)
読書推進活動が活発な英国(CA1498参照)では,同国で人気の高いサッカーに関連させた活動も展開されている。プロサッカーリーグ「イングランド・プレミアリーグ」のチームと選手らによる“Premier League Reading Stars(PLRS)”と,2010年FIFAワールドカップに関連させた“Love Football : Love Reading”という2つの事例を紹介する。
PLRSは,イングランド・プレミアリーグとサッカー協会,英国リテラシー・トラスト等の共同により2003年から行われている活動である。主な活動内容は,リーグの全20チームから1名ずつ選出される“Reading Star”のお気に入りの本の紹介と,それらの本の無償提供を受けるパートナー図書館が運営する読書クラブによって,読書を推進しようというものである。過去には,ウェイン・ルーニー選手やジョン・テリー選手も“Reading Star”として本を紹介している。また,紹介された本を合計100冊読んだグループに抽選で賞品を贈呈するという試み“PLRS Challenge!”も行われている。本の紹介以外の活動として,参加者に書店やスタジアムを訪れる機会が設けられており,Reading Starに会えることもあるという。
“Love Football : Love Reading”は,リテラシー・トラストが発表した,2010年に開催されるサッカーのFIFAワールドカップを利用して読書推進活動を行うためのアイデア集である。対象は,学校の教員や学校図書館員,公共の児童図書館員等とされている。賞品付きのワールドカップクイズやワールドカップに関連する言葉を使ったビンゴなどさまざまなアイデアが掲載されている。以下にその一部を紹介する。
- サッカー関連本のワールドカップ
子どもたちにサッカー関連の本の評価を,「3」「1」「0」というワールドカップの勝ち点に倣った点数で表してもらい,獲得した点数によって優勝作品を決める。 - 図書館での宝探し
宝探しの要領で,子どもたちに6つの手がかりを基に図書館内にあるサッカー関連の本を探してもらい,そこで見つけられる6つの文字を組み合わせてサッカー選手の名前を答えてもらう。 - 新聞記事は何を伝えているか
子どもたちにワールドカップに関する複数の新聞記事を読んでもらい,このゴールは認められてしかるべきか,あの選手は退場させられても仕方なかったのか,など記事の主題について話し合ってもらう。
これら両活動に関わっているリテラシー・トラストは,約17,000人の児童らを対象にした調査で,3分の1近くの男子児童が読書に興味を持っていないという結果を得たことから,サッカーに関連させた活動によって子どもたち(特に男の子)に読書の楽しさを感じてもらい,現状を改善していきたいと考えているようである。
Ref:
http://www.footballfoundation.org.uk/our-schemes/reading-the-game/premier-league-reading-stars/
http://www.footballfoundation.org.uk/EasySiteWeb/getresource.axd?AssetID=24836&type=full&servicetype=Attachment
http://www.footballfoundation.org.uk/our-schemes/reading-the-game/premier-league-reading-stars/plrs-challenge/
http://www.literacytrust.org.uk/assets/0000/3808/01394_NLT_World_Cup_2010_activities_book_V4.pdf
http://www.literacytrust.org.uk/reading_the_game/news/1894_get_your_world_cup_tool_kit_on_in_time_for_the_big_kick-off
CA1498