カレントアウェアネス-E
No.31 2004.02.18
E170
成人のリテラシー教育と図書館・文書館・博物館(英国)
英国リテラシー・トラスト(CA1498参照)は,博物館・文書館・図書館国家評議会(注1)の助成を受けて,読み書き・計算という日常生活を送る上で欠かせない基礎的能力に問題を抱える成人を支援するために図書館・文書館・博物館が行っているサービスの現状,体制・方針等に関する基本調査を実施し,その結果を2003年12月3日に発表した。
それによると,調査に回答した図書館・文書館・博物館のうち,84%が基礎的能力に問題を抱える成人へのサービスを実施しており,68%が関連団体と連携を図っている。また,78%が情報技術を活用してそれら成人の利用環境を改善している。
図書館・文書館・博物館を対象とした基本調査は初めてのことで,成人の読み書き・計算能力を向上させるための国家戦略「生活のための基礎的能力(Skills for Life)」(注2)に対する図書館・文書館・博物館の寄与が示されたと評価されている。
(注1)2月9日に「博物館・図書館・文書館国家評議会(Museums, Libraries and Archives Council: MLA)」と改称し,Resourceという通称の使用も中止した。
(注2)2001年に教育雇用省(現教育雇用訓練省)が発表した国家戦略で,読み書き・計算に問題を抱えた成人の数を2004年までに75万人,また2010年までに350万人減少させることを目標としている。英国では約700万人の成人が読み書き・計算能力に問題を抱えていると言われ,これらの人たちへの支援が国家的な課題とされている。
Ref:
http://www.literacytrust.org.uk/mapping/index.html
http://www.dfes.gov.uk/readwriteplus/bank.cfm?section=211
http://www.resource.gov.uk/news/press_article.asp?articleid=667
CA1498