E290 – 公共図書館と学校の協働をめぐる動き(英国)

カレントアウェアネス-E

No.52 2005.02.02

 

 E290

公共図書館と学校の協働をめぐる動き(英国)

 英国では一連のリテラシー政策(CA1498参照)によって子どもの読み書き能力は向上したが,娯楽のための読書は減少傾向にあるという。OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)2000」によれば,読書を楽しむ子どもは学業成績も高いことが示されており,読書の喜びを児童・青少年に広めていくことが英国の政策課題のひとつとされている。英国読書協会は,そうした課題への対応策として,公共図書館と学校の協働を推進しようとする報告書を相次いで発表した。2004年12月に発行された『読書を楽しむ(Enjoying Reading)』は,公共図書館員に対して,学校との連携・協力関係を構築するための実践的なアイディアの提供を目的とした資料集である。また,1月に発行された『読書コミュニティの育成(Developing reading communities)』は,中等学校における読書クラブと公共図書館との連携・協力を提唱した報告書である。

 一方,ラフバラ大学の図書館情報統計部門(LISU)が2004年12月に発表した『英国における学校および子どもに対する図書館サービス調査2003-04』によれば,全英の図書館行政庁のうち,68%が子どもたちのための読書クラブを設け,99%が学級訪問を行っている。また,97%が休日のイベントを開催,65%が学習援助を行っている。いずれも前年より伸びており,公共図書館による子どもや学校へのサービスの進展が明らかになっている。

Ref:
http://www.mla.gov.uk/news/press_article.asp?articleid=762
http://www.lboro.ac.uk/departments/dils/lisu/pages/publications/sch-chil04.html
CA1498