カレントアウェアネス-E
No.52 2005.02.02
E291
場としての図書館の価値
Googleによる図書館蔵書の大規模な電子化が図書館界で話題となっているが(E285参照),インターネットを使ってどこからでも情報を入手できる時代にあって,場としての図書館の役割はどのように変化し,それにより図書館のデザインはどのような影響を受けるのだろうか?
米国の図書館情報資源振興財団(CLIR)は,この興味深い問いを6人の専門家に投げかけ,その回答をエッセイ集として今春に刊行するという。その概要を紹介したCLIR issues 43号(1月発行)によれば,「図書館は教室の延長と見なされ,協調学習のための場とツールを提供するようになる」という見方など,教育・学習方法の変化の中に図書館の可能性を見出そうとする考えが示されている。また,古代のアレクサンドリア図書館(E204参照)とその姉妹機関ムーゼイオンが総合的な学術研究・教育の拠点として機能していたことに着目して,「研究者・学習者の社会的相互作用や協働を支援する場」,「学際的な探求を促す環境を提供する場」として図書館を位置付けようとする考え方や,公共図書館と大学図書館をひとつの建物に統合したDr. マーチン・ルーサー・キング・Jr. 図書館(E121参照)等をモデルに,これからの図書館の機能とデザインを展望した論考も紹介されている。
Ref:
http://www.clir.org/pubs/issues/index.html#value
E285
E204
E121