自分が勤務する図書館の利用者をモチーフとした小説を書いた図書館員、解雇に(米国)

米国ミシガン州の小さな町の公共図書館で15年間、図書館員(ライブラリアンではなくLibrary Assistant)を務めていた女性が、「実在の利用者が容易に特定可能である書き方で、その利用者たちを悪し様に描いた小説を書いた」として、解雇されました。この事件が、米国の図書館ニュース誌、図書館系ブログで物議を醸しています。

この女性はオンデマンド出版社から、「このごろ図書館で起こっていること、特に図書館には幼児性愛者・性犯罪者、狂人が通ってくることを世に知らしめたい」として、自分の勤務する図書館の利用者をモチーフに、小説を出版しました。またこの小説について、はがきや電子メール、利用者との対話の中で周知したほか、地元のカフェに本を置いたりなどして宣伝したそうです。利用者からの指摘を受け、図書館長が読んだところ、図書館名は伏せられているものの州・郡は明示されており表紙の写真により図書館が特定でき、また名前だけは変えられているものの、小さな町であるので、登場人物の性格と癖から、実際の利用者が容易に特定できたことから、検討の結果、解雇することにしたとのことです。

女性は、「図書館が表現の自由の柱であることの全くの皮肉」として、この小説を書いたとしていますが、解雇した館長は、「解雇したことは、合衆国憲法修正第一条(表現の自由)には反しない」としています。なお女性はテレビのインタビューに対し、赤裸々に、利用者や幼児性愛者・性犯罪者などに対して思うところを語った後、「解雇に異議申し立てをするつもりはない」と示唆しています。

ALA | American Libraries – Director: Library Diaries Author Invaded Patrons’ Privacy
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2008/august2008/librarydiaries.cfm

TV Interview with the author of library diaries | LISNews
http://lisnews.org/tv_interview_author_library_diaries
Author of Librarian Memoir Speaks Out Against Author of Library Fiction | LISNews
http://lisnews.org/author_librarian_memoir_speaks_out_against_author_library_fiction
Ex-library employee awaits appeals decision | LISNews
http://lisnews.org/ex_library_employee_awaits_appeals_decision