2022年8月3日、論文撤回監視サイトRetraction Watchに、PLOS ONEが、査読が操作されていたという理由により100 以上の論文を撤回した事例を紹介する記事“Exclusive: PLOS ONE to retract more than 100 papers for manipulated peer review”が掲載されました。
記事によると、調査対象論文は当初50本でしたが、最終的にオーサーシップや利益相反に関する懸念がある2020年以降に投稿された論文300本以上に拡大し、そのうち100本は出版済みであり、それらの撤回処理を進めたとしています。一部の著者は撤回に反対していること等も述べられています。
記事で紹介されている事例は、著者と学術編集者が、最近共同研究を行った、または同じ研究機関で研究を行った等の潜在的な利益相反を開示しなかったほか、学術編集者が、一部の著者と非公開の関係を持つ査読者を招待していることにより査読の過程が操作されたとしています。また、オーサーシップに関して、著者資格を満たさない著者や不審なほど大量に出版している著者が含まれていること等が判明したとしています。
Exclusive: PLOS ONE to retract more than 100 papers for manipulated peer review(Retraction Watch, 2022/8/3)
https://retractionwatch.com/2022/08/03/exclusive-plos-one-to-retract-more-than-100-papers-for-manipulated-peer-review/
参考:
オープンアクセス出版社・PLOS、他国に赴いて行われた研究に関し研究報告の透明性向上のため新ポリシーを策定
Posted 2021年10月7日
https://current.ndl.go.jp/node/44937
文献管理ツールZotero、論文撤回監視サイトRetraction Watchとの連携によりライブラリ内の撤回論文自動通知サービスのベータ版を提供
Posted 2019年6月19日
https://current.ndl.go.jp/node/38393
「引用され過ぎ」を理由に論文撤回 後に処分を見直し(記事紹介)
Posted 2018年2月7日
https://current.ndl.go.jp/node/35445
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1829